■日本被団協がノーベル平和賞を受賞

【写真・画像】「私の顔や手をよく見てください」被爆者から世界へ、これから生まれてくる人々へ…核廃絶を叫ぶ「ノー・モア・ヒバクシャ」 4枚目
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ノーベル平和賞受賞者公式記者会見での日本被団協代表委員 田中熙巳さん(92)

 核兵器使用のリスクが高まり、核軍縮が停滞する中、ノルウェー・ノーベル委員会は、2024年のノーベル平和賞を日本被団協に授与した。核兵器廃絶を目指す被爆者と、その経験や思いを継ぐ若者たちの草の根運動をたたえるものだ。

「私たちが2024年ノーベル平和賞を日本被団協に授与すると決めた理由は、彼らが何十年にもわたる努力をして『核のタブー』を創出し維持した功績、核兵器使用は道徳的に容認できないと拒絶する国際的な規範を生み出し、核兵器のない世界を実現する上で果たした役割に対する評価です」

「広島長崎ピースメッセンジャーズ(高校生平和大使)はしっかり認識し、活動を評価しています。新しい世代が責任を引き継ぎ被爆者の物語や記憶、証言を日本の若者だけでなく、世界に伝える方法の一つです。しかし大事なことは、“彼らだけの責任ではない”ということです。被爆者のメッセージを引き継ぐのは、地球上の全ての人が共有する責任なのです」(ノルウェー・ノーベル委員会フリドネス委員長)

 ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の代表委員を務める田中重光さん(84)は「(メダルを)山口仙二さんとか谷口稜曄さんに触ってもらいたいですね」と語る。同じく代表委員の田中熙巳さん(92)は「特に山口仙二さんは愉快な人だったから、飛び上がって喜んでますよ」と思いを馳せた。

 受賞者公式記者会見で、現地の若い記者から「広島長崎の被爆者として今の若者たちに何か望むことはありますか?」と問われ、田中さんは「広島と長崎で核兵器を使ったらどういうことが起こるか、目撃し体験してきました。その体験から核兵器は持ってはいけない、使ってはいけないと叫び続けてきたわけです。残念ながら私どもは、いつかはいなくなる。そういう状況がくることが分かっているにも関わらず、若い人たちが真剣に考えていただけていないんじゃないかと疑問を持ちます。核兵器が存在するかしないか、核兵器が使われるかどうかは未来の問題です。未来の若い人たちの将来がどうなるかということに関わりますので ぜひ若い人たちにできる限りの力を絞って伝えていきたい。皆さんの未来は皆さんで創り上げていくんだ、拓いていくんだということをお伝えしたい」と力強く語った。

核兵器のない世界へ
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