■足を切断した紫乃さん
友人との写真
紫乃さんが、足の太ももを切断して約1カ月。まずは義足を作るために残った足の型を取る工程から始まった。
切断手術の直前に撮られた写真には、紫乃さんの足には家族や友人からのメッセージが書かれていた。「『32年間ありがとう』とか書いてあった。また新しい人生が始まるから、頑張ろうみたいなことが書いてあったけど、なんか複雑な気持ちになって……」(紫乃さん)
大学のバドミントン部では、全国大会の団体戦で2度の優勝を経験し、卒業後は実業団チームに入団。選手として、順風満帆の日々を送っていた紫乃さんに悲劇が襲ったのは、23歳の時だった。
両股関節のケガで手術を受けたところ、神経が損傷する後遺症が残り、左足の股関節から下が麻痺。当初は6週間ほどの入院予定だったが、約1年半の長い入院生活が続いた。
「結局、バドミントンができなくなっちゃって。バドミントンだけで生きてきたのに、それを失った時、どうやって生きたらいいのかがわからなくて。どんどん障がい者になっていく自分、なった自分を見せたくない。バドミントンができなくなった自分には何もない。取り柄がない。それで外にも出られなくなったし、人とも喋れなくなるのが続いた」(紫乃さん)
やむなく太ももの切断を決意
