その後、麻痺で足の感覚がないせいで、火傷や骨折をしてしまった。それでも痛みは感じない。やむなく太ももの切断を決意した。
「喪失感とか自分もそうなっちゃうんだどうしようとか、そういうのはそんなになくて。切って早く楽になって、自分の足で歩きたいというのが一番だった。もう一回、風を切るあの感覚を味わってみたい。あの感じって走ったときにしか味わえないので。義足になって、バドミントンをしている姿もそうだけど、いろいろな人に8年前の自分をもう一回見せたい。普通の自分に戻りたい。一番嬉しかったのは、(友達が)『早くバドミントンをする姿が見たい。楽しみだね』って。また頑張ろうという気持ちにさせてもらった」(紫乃さん)
紫乃さんは、足を切断するとき、股関節から下を切り離す手術、いわゆる“股関節離断(こかんせつりだん)”を選ばなかった。医師との相談の結果、太ももを切断する“大腿切断(だいたいせつだん)”を選択した。
「私も股関節離断にした方が良いと思った。だけど、(股関節から下が)動く可能性がまだ残っている。8年前にまだ残っていると言われて。それを信じてリハビリをすれば歩けるんじゃないかなって思って。私は(股関節で)切断しなくて良かったと思う」(紫乃さん)
理学療法士にとっても初めての挑戦
