時計の針は7年前に戻る。人間洗濯機の実用化に向け、研究開発を模索していた山谷氏はあるCMを目にした。それはシャワーヘッドミラブルで、ウルトラファインバブルと呼ばれる0.001ミリ未満の超微細な泡が体の汚れを洗い流していた。
山谷氏は即座に受話器を取り「一緒にやらせてもらえませんか?」と交渉。CMを流していたのが、2007年に創業した株式会社サイエンスだった。創業者は55年前、人間洗濯機に釘付けになったあの少年、青山氏。青山氏はアトピー性皮膚炎の娘のために、浄水装置を開発。水道水を洗浄して使えば、症状をおさえることができた。あとは「皮膚に触れることなく優しく体を洗ってあげたい」そんな父親の思いがミラブルの開発に繋がったという。
ヒントは半導体で、半導体を洗浄するウルトラファインバブル技術に着目。「これを人間に応用できないか」と試してみると、想像以上に汚れが落ちた。
こうして2008年に誕生したのが、湯船に浸かるだけで汚れが落ちるお風呂「ミラバス」。これを応用し、2018年に開発したシャワーヘッド「ミラブル」はシリーズ累計販売数が170万本以上の大ヒット商品になった。次はこれをどう膨らませていくか。
過去とミライが繋がった瞬間
