経済学者と考える“労働時間の緩和”と“ワーク・ライフ・バランス”
【映像】日本と海外の残業事情を比較(図で解説)
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 新内閣の船出の中で明らかになった「労働時間の規制緩和の検討」。もし緩和が進んだ場合にどういうことが起きうるのか。企業の働き方改革のコンサルティング事業を手がける専門家に話を聞いた。

【映像】日本と海外の残業事情を比較(図で解説)

 人口が減り続けている日本。ワーク・ライフ・バランスを推奨する事業を続けてきた小室淑恵氏は、男女ともに「長時間ではないが働ける人」を増やすことが日本の生き残りには必要だと訴えてきた。

「2019年の『働き方改革関連法』以降で(労働力は)ぐっと伸びている。これは、企業が働き方を短くしたことによって、それまで労働市場に出られなかった何年も専業主婦をしていた女性や、高齢で長時間は働けないという方たちが普通に仕事をできるようになった」

 働き方改革で「多様な働き手」が入ってきた中で、仮に労働時間の上限が緩和されれば「逆効果」だという。

「企業にしてみると(労働)上限が緩和されたら、当然1人の人にたくさん(残業)をのせたほうが楽だとなる。多くの方たちが仕事のモチベーションも下がってしまうし、辞めてしまうという形になって、ますます人手不足になる」

 一方で、残業代を増やしたいから働きたいという人もいるのではという指摘には。

「労働時間が短くなって残業代込みじゃなかったら、基本給では全然暮らせないということがわかった。基本給が低すぎることも労働者は言っているのに、間でねじ曲げた人たちが『彼らはもうちょっと働きたいと言っている』というふうに言う。つまり基本給は低いまま、労働時間で、残業代で稼ぐモデルをこれからも維持したいということを経営者が言っているという状況」

労働上限の緩和の前に改善するべきこととは
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