将棋の第73期王座戦五番勝負第5局が10月28日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で指され、藤井聡太王座(竜王、名人、王位、棋聖、棋王、王将、23)が挑戦者の伊藤匠叡王(23)に97手で敗れた。この結果、藤井王座はシリーズ成績を2勝3敗とし失冠。保持するタイトル数は六冠に後退した。
同学年のタイトルホルダー同士が激突した大勝負は、挑戦者の伊藤叡王が制した。両者2勝2敗のタイで迎えた最終第5局は、振り駒で伊藤叡王の先手番に。相掛かりの出だしから、伊藤叡王の作戦通りとみられる展開となった。
一方、藤井王座は序盤から果敢な攻勢に打って出る。難解な中盤戦では意表の桂成りを見せるなど新たな組み立てを披露。王者の構想力に大きな注目が集まっていたが、伊藤叡王はしっかりと持ち時間を投入しつつ冷静な対応を見せていた。
常に激しい変化をはらむ超難解な応酬に、解説陣からは「こんなに常識が当てはまらない将棋も珍しい」「異次元」などの声も上がっていたが、伊藤叡王は少ない攻め駒で適確に急所を捉えてポイントを稼いでいく。圧倒的な終盤力を誇る藤井王座だが、伊藤叡王はその力を封じ込めるように制圧。最後は藤井王座が静かに投了を告げ、大熱戦のシリーズが幕を閉じた。
この結果、藤井王座のシリーズ成績は2勝3敗で失冠。2024年度の叡王に続き、王座のタイトルも伊藤叡王に奪われる結果となった。なお、奇しくも決着局の開催地、シリーズの星取りも同じという結末で藤井王座の保持タイトルは六冠に後退することとなった。
藤井聡太王座の終局後コメント




