ではなぜマドゥロ大統領は、交渉に応じなかったのか。そこにマドゥロ大統領側からみた、今回の真相が浮き彫りになる。
「まず中国とロシアは、例えば国連などの席で、口頭ではいくらでも支援をしてくれるが、実質的なサポートを、もう見限っていたと思う。彼らの支持が得られないことは、マドゥロ氏もおそらく分かっていた。人権侵害、反戦派の政治家や一般市民もたくさん殺してきた。拷問してきた人たち、麻薬に手を染めてきてきた人たち、彼らは自分たちが法の裁きを受けることは必須だ。だから、彼らは自分の身を守るためには、政権交代は絶対に困る」
さらに、マドゥロ政権の後ろ盾となっていたキューバの存在を指摘する。実際、今回の軍事作戦で30人以上のキューバ軍人や内務省職員が命を落としたとされている。「1月3日の攻撃は、マドゥロ氏が寝ている居場所と、ベネズエラ軍の基地と軍の空港。日中ならともかく、夜中の午前1時に、30人を超えるキューバ人の軍人たちがいたということ。通常であれば、国家安全保障上最も重要な地域で、どう考えても外国の勢力がそこにいてはおかしい地域だ」。
今回の事態をマドゥロ氏はどう捉えているのかと尋ねたところ、「これはマドゥロ氏に気持ちを聞いてみないと分からないが、(大統領職を)辞めたいと思っていたのではないか。それを、彼に辞められたら困る人たちに囲まれていた、ということではないか」と、意外な見解を示した。
国際政治学者が背景を解説
