将棋の第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第5局が3月29日、鳥取市の「有隣荘」で指され、挑戦者の増田康宏八段(28)は藤井聡太棋王(竜王、名人、王位、棋聖、王将、23)に敗れ、シリーズ成績2勝3敗で惜しくも悲願の初タイトル獲得はならなかった。絶対王者をあと一歩まで追い詰めた大激闘は、無念の幕切れとなった。
勝てばタイトル奪取となる運命の最終局。対局前の振り駒で後手番となった増田八段は、とっておきの作戦である「一手損角換わり」を採用した。絶対に負けられない大一番で相手の意表を突く勝負手には、2期連続挑戦から何としても今年こそ初戴冠を果たすという強い執念が込められていた。しかし、百戦錬磨の藤井棋王に冷静に対応され、中盤以降は徐々にペースを握られる苦しい展開に。最後まで諦めずに盤上に食らいついたものの、無情にも王者との差は開き、投了を告げる結果となった。
今シリーズの増田八段の戦いぶりは、間違いなく多くの将棋ファンの胸を熱くさせた。2期連続での挑戦となった今期は、第1局でスタートダッシュに成功。さらに第3局を制して2勝1敗とリードし、あの絶対王者・藤井棋王を絶体絶命の“カド番”にまで追い込んだ。「新棋王誕生か」——日本中の将棋ファンがその瞬間に期待を膨らませた。
結果として第4局、第5局と連敗を喫し、あと一歩のところで栄冠はすり抜けていった。しかし、最前線で進化を続ける28歳が、藤井棋王と互角以上のフルセットの死闘を演じた事実は決して色褪せない。2年連続で過酷な挑戦者決定トーナメントを勝ち抜いた実力と、王者を震え上がらせた確かな強さは、次なる戦いへの大きな糧となるはずだ。
終局後の増田八段のコメント




