「なんで政治についての議論が100万回も回らなきゃいけない?」ゲンロン創業者の東浩紀氏が語るネット言論の変質と課題、そして可能性

ABEMA Prime
平石直之アナと東浩紀氏
【映像】東浩紀氏と平石直之アナの対談(フル)

 人々が言論を交わす空間を、長く育て続けている人がいる。哲学者・作家の東浩紀氏は、株式会社ゲンロンを立ち上げると、批評誌『ゲンロン』を出版するとともに、これまで数多くのテレビ番組にも出演してきた。昨年12月には著書『平和と愚かさ』を刊行し、500ページにわたる大作を世に問うなど、今も精力的な活動を続けている。「ABEMA Prime」の対談企画「ふたりぼっちのアベプラ」では、テレビ朝日平石直之アナウンサーが、東氏が大切にする言論空間、動画と議論の現状、そして自身が作り上げた場所や価値観をどう次世代に手渡していくかを聞いた。

【映像】東浩紀氏と平石直之アナの対談(フル)

平石直之アナウンサー(以下、平石氏) 東さんは「ゲンロン」を16年間やってこられて、ある程度に人数を絞り、分かる人たちにきちんと届けたいという思いを感じます。今、議論をする場、言論の場を作ることをどう考えていらっしゃいますか。

東浩紀氏(以下、東氏)今の社会でスケールを追い求めると「考えさせないようにする」が一番簡単なやり方なんですよね。ショート動画が典型ですが「結論はこれだよ」「結論から先に言え」と。僕としては「考える人が増えてほしい」と思っていて、読者を増やしたいとか、ゲンロンの支持者を増やしたいのは確かだけど、主張を簡単にすると、僕が本当にやりたいことが伝わらなくなるんです。

 3時間とか4時間とかしゃべっている「ゲンロンカフェ」は、その段階でもう視聴者を狭めていますが、それに付き合ってくれる人を増やしたい。だから、思いとしては矛盾しています。一方では広めたいけど、他方では無理して広めたくないという感じですね。

平石氏 ネガティブなことの方が世の中に拡散しやすいですね。私も番組の中で感じるところですが、吠えたり、ギャンギャンやっているところばかりが、再生数は回ります。前後の文脈や全体を見てくれていないことも含めて、今のネット言論というのは、東さんにとってどのぐらいの意味を持つものですか。

東氏 ここ1~2年のネットを中心とした政治的言説のエンタメ化は非常に良くないと思っています。国政選挙が続いたとか、都知事選など劇場型の選挙が続いたことも大きいです。「政治のエンタメ化」と言えば聞こえはいいですが、やはり大変下品になりました。

平石氏 政治家もそちらに乗っているし、利用していると思います。

東氏 でも、政治家は利用しているようで、利用されている感じがしますね。最終的には政治の価値を棄損してると思います。ガーシーさんが参院選に出たのが4年ぐらい前ですかね。あのあたりが始まりだと思うんですが、政治は、少し変わったインフルエンサーのような人がするものになっています。

 政治家もこの流れに乗っかってきて「俺も変な番組に出れるぞ」みたいな感じになり、それがずっと続いている。むろん自民党の重鎮には別にそんなことは関係ないわけですが、新しい世代の政治家は巻き込まれていてマイナスだと思います。自分はまだ若いけれども、すごく真面目な人間で信頼を積み上げていきたお、地道にやっているとアピールしなきゃいけない、そんなときに今はネットで飛び道具みたいに扱われなければいけない。そんな時代になったから、苦しいですよね。人々がそれを求めているんだし、実際にお金が回ってるんだからしょうがないという立場のひともいるだろうけれど、僕はここ数年の状態については憂いてます。

政治家と動画再生回数
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