■現状打開の発想転換
ビジネスライタ―の黒坂岳央氏(44)は、氷河期世代の厳しさは実感しつつも、「いつまでも被害者扱いではいけない」と考えている。「時代の大変さは感じていた。100社ぐらい応募したが、1件も面接に行けず、フリーターになった。大学に入り直して、さあ就職だとなったときに、リーマンショックが起きた」とのエピソードを明かす。
当時は米国会計でのキャリアアップを考えていたが、「リーマンショックで、インターンシップや採用の枠が消えた。そこで『枠を取りに行くのは無理だ』と発想を変えた。ハイスキルの企業は、1から育てる余力がない。そのため英語を学び、次に会計のキャリアも積み、数年越しの戦略で採用された」のだそうだ。
こうした経験を踏まえて、「社会的に厳しい状況で、全員にはできないだろうが、やり方を工夫することで打破できたのではないか」との考えを示す。「スキルや経験ではなく、働く産業をずらす発想が必要だ」。
小島氏は「電気工事士の資格を取ったが、年齢と実務経験のなさで、うまくいかなかった」と話し、こどおばさんは「事務職を選んだのは、体力面での不安からだ。歯科助手のバイトをしたときに、1日中立ち仕事で頭痛になり、長期的に働くイメージがわかなかった」との経験談を語る。
2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、「需要のある仕事を選ばず、『私はこれをしたい』と言っても、会社側はスキルのない人を採用できない。この構造は、よほど好景気にならない限り変わらない。10年以内に好景気になるのも無理で、生活保護で楽しく暮らす方向にシフトした方がいいのでは」と提案する。
IT企業リブセンスの人事部長・楠本匠氏(47)は、自身の厳しい就活経験を採用に生かしているという。「苦労した人が多いのは事実だ。ただ氷河期世代はつらい側面ばかり取り沙汰されるが、必ずしも悪いことばかりではない。確かに就職は厳しかったが、ITバブルを享受できた世代でもある」。
加えて、時代の流れを「氷河期以前は、新卒として横一線に入社できるのが当たり前だったが、『頑張れば報われる』が壊れ、価値観が転換した。社会よし、従業員よし、顧客よしの“三方よし”が壊れ、急に実力主義になると、そこからこぼれる人が増えた」と分析する。
そして、「景気に左右される側面が強く、行政や国が土台を整備する必要がある。企業の経済合理性のみを考えると、影響は各所に波及してしまうことは、常に意識している」と語った。
■「割を食った世代」を救うには
