■「割を食った世代」を救うには
近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、「過去30年の日本経済は、世界の動きや、テクノロジーの進化に合わせられなかった。先進国で生産性が上がっていないのは日本だけだ」と説明する。
また、「昭和の時代は正規雇用を守ったが、ITが入り、一気に仕事が変わる時代に合わせるために非正規雇用が生まれた。本来であれば、安定しない非正規の方が給料は高いはずだが、安定している正規の方が、給料が高くなった」とも話す。
他の要因としても、「正規で雇った人は解雇できないため、入口を減らすしかない。労働法制や労働組合、経営のやり方などが、テクノロジーの進化についていっていないことにより、割を食った犠牲者がいる」と考えている。
2000年前後を振り返り、「銀行が全部つぶれたのは、経済が成長していないしわ寄せの側面がある。それに対して、何らかの支援が必要だ。生活保護は以前からあるが、それより軽い形を作るなど考えた方がいい」。
経済学者で慶大名誉教授の竹中平蔵氏は、「当事者と制度の両方で解決策を見いださないといけない。バブル以前は未経験者を雇っていたが、経済全体が大きくなり、すでに雇った人を守らないといけない。そんな中で、急に経済が縮小すれば、調整弁は新入社員になる。割を食った世代であることは間違いない」とする。
一方で、「1993年から2004年まで、有効求人倍率が1を下回ったため『氷河期』と言われているが、大卒求人倍率は、1年を除いて『1』を上回っている。そこにはテクノロジーの変化に適応できなかった世代の責任も一部ある。正社員が守られすぎている制度を変えなければ、今後の経済悪化で、また同じ問題が生じる」とも指摘する。
これらは「大学にも責任がある」といい、「『卒業すれば企業が鍛えてくれるから』と、勉強しなくても卒業できる」といった面も課題だとする。「特定世代だけを対象にするのは難しいため、職業訓練バウチャーを出してはどうか。いろいろと受講できる券で、職業訓練機関も競争原理が働いて発展する。ただし根本は、労働市場のゆがんだ構造を改革することだ」。
(『ABEMA Prime』より)

