米中首脳会談の“不都合な真実”?「トランプ氏の商談は想定以下」…コメディ番組では中国に突きつけられた「トゥキディデスの罠」がネタに

わたしとニュース
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■中国が突きつけた「トゥキディデスの罠」と失われた優位性

 会談の中では、習氏が米中関係について「米中両国がトゥキディデスの罠を乗り越えられるのか」とトランプ氏に突きつける場面があった。「トゥキディデスの罠」とは、既存の大国と急速に台頭する新しい大国が、戦争が避けられない関係になってしまうことを歴史的に示した言葉だ。

 この言葉に対するアメリカの反応について、内田氏は次のように語る。

「これはアメリカでも報じられている。私はこの言葉を知らなかったが、初めて目にしたのがレイトナイトコメディだ。アメリカのレイトナイトコメディは、夜遅くにあるお笑い番組のようなものだが、単なるお笑いではなく政治や社会を風刺する文化としてかなり影響力がある番組が多い」

「そのレイトナイトコメディでは、番組のMCがトゥキディデスの罠という言葉について、習氏が発言したシーンを映して『トゥキディデスなんて言葉をトランプが知っているわけないじゃないか』『習氏はなんでそんな難しい言葉を使うの』という感じで文句を言うシーンから始まった。トゥキディデスの罠という非常に歴史哲学的な言葉を習氏が持ち出した直後に、今度はトランプ氏が『アメリカには中華料理屋がこんなにたくさんあるんだよ』と語った映像を流して、両首脳のコメントの高尚さの落差を笑いに使っていた」

「それは多くの人が面白いと感じた番組だったが、もう少し真剣なメディアにおいては概念について紹介されていた。トゥキディデスの罠というのは、戦争が起きる具体的な話の背景に、既存の大国が自国は衰退するんじゃないかという恐怖を抱く状況、そして新興国がどんどん上っていきたい・自分も大国として並びたいという恐怖と野心がぶつかるところで生まれる、心理的・政治的な摩擦を示す言葉でもあり、習氏がこの表現を用いたこと自体、中国の野心を明確に示した発言だと分析する声もあった」

 今回の会談には、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOやイーロン・マスク氏、アップル社のティム・クック氏などアメリカのトップ経営者らが同行したものの、思い描いたほどの成果は上がらなかった。この結果は、世界のパワーバランスの変化を示唆しているという。

「特にAIや半導体は、アメリカが最後まで最先端技術を握っている切り札と考えてきた分野でもあると思う。でも今回、中国側が以前ほどそこに食いつくことはなかったのでパワーバランスがシフトしているという見方もあると思うし、たとえアメリカが最先端技術を持っていたとしても、それだけで相手を完全にコントロールできる時代は終わった、そういった現実が見えた会談だったかもしれない」

(『わたしとニュース』より

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