■広告規制で不自由な表現、海外に出遅れ…
J-Beauty産業の市場規模は9.7兆円、雇用者数は980万人(多くの業種で大半が女性)だ。比較としてコンテンツ産業を見ると、市場規模13.4兆円(うち主要5分野 計9.3兆円)、雇用者数406万人(うち主要5分野 計22.8万人)となっている。
アレン様は「広告規制の緩和は、ちょっと違う」と考えている。「諸外国はマーケティングやブランディングが上手だ。フランスには、ゲランやシャネル、ディオールなど、ブランド力と歴史で買う層が一定数いる」。
そして韓国に目を向け、「ブームが爆発した第1の理由が、安価であること。加えて、日本では規制されている成分が入ったり、広告がゆるかったりする。韓国へ行くと、お土産にばらまくために、コスメを大量買いする文化ができている」として、「片方は“伝統とブランド”、もう片方は“値段と成分”で勝負するとなると、日本は何で戦うのか。広告規制より先に、そちらを考えた方がいい」との考えを示した。
近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、「日本が売りにすべきは、クオリティーの高さ。韓国が過激な表現で来るのであれば、日本は品質を売り出した方がいい。もし表現規制の緩和を検討するなら、成分や効能をテストする検証機関を作るべきだ」と訴える。
資生堂やシャネルなど国内外の化粧品メーカーに勤務し、商品開発やPRを担当した、美容アナリストの御殿谷りえ氏は、「韓国のK-Beautyが上手なのが、東京・新大久保全体の文化として打ち出していること。タレントを前面に出すなど、エンターテインメント性もうまい。一時的かと思いきや、アジア全体をリードする存在として定着した」と説明する。
日本製品については「品質の良さや、研究の深さは世界に負けない。そこがもう少し前に出るといい」と評価するが、現状の規制には「広告規制もしかりだが、輸出も成分で引っかかる。ポジティブリストやネガティブリストが、世界基準と合っていない」と否定的だ。
現場での経験から「言えるワードが少ない。薬機担当と何度もすり合わせても『保湿』ぐらいしか基本的に言えない。言い換えようとすると、全部同じ商品に見えてしまう。化粧品は肌を変えることができないポジションにあり、言えないのは心が痛かった」と振り返る。
「J-Beauty産業研究会」のメンバーで、海外向けEコマースプラットフォームを展開する株式会社NOVARCAの濱野智成社長は、「品質は世界でも評価されているが、伝えるのが下手くそだ。日本のブランドは、ビューティーに限らず、ハイコンテクストな表現や処方で伝えようとするが、海外では『成分の含有量』や『シワの改善度』を、エビデンスを元にマーケティングしている」と語る。
これらの違いから「日本の規制が厳しく、海外でもできないため競り負ける。日本市場にも韓国や中国のブランドが押し寄せ、防衛戦がやっと。海外に投資が回らない状況で、海外でのプレゼンスも減ってしまっている」との実情を伝える。
■J-Beautyで世界に勝つ打開策は
