「一刻も早く世界戦を」兄弟の強い思いが引き寄せた亀田興毅氏との出会い
熊本の名門・開新高校ボクシング部で兄・優大は高校4冠、弟・銀次朗は高校5冠という輝かしい実績を二人で築き上げた。優大は拓殖大学へ進学すると、2018年には全日本選手権でライトフライ級を制するなど、さらに実力を証明。注目の兄弟はプロ転向に際して東京・五反田にあるワタナベボクシングジムに所属。主戦場として選んだのが、亀田興毅氏がファウンダーを務める「3150 FIGHT」だった。優大は当時を振り返る。
「俺と銀は一刻も早く世界戦をやりたいと思っていましたが、現実的にワタナベボクシングジムが単独で世界戦を打つことは難しい。俺たち兄弟には自信があったから最速で世界戦を組んでくれる人を探していた。その時に現れたのが亀田興毅さんだったんです」
重岡兄弟の思いを聞いた亀田ファウンダーは「本当にやるんだな。勝てるなら俺は組むぞ」と応じたという。その言葉どおり優大は3150 FIGHTで4試合、銀次朗は5試合の世界戦を戦った。
すべての世界戦が印象深いという優大の中でも、史上初となる兄弟での“同日、同階級”世界王者は“特別だった”という。それは2023年4月16日、優大はWBC世界ミニマム級暫定王座決定戦でウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)を7ラウンドKOで撃破。銀次朗はIBF世界ミニマム級暫定王座決定戦でレネ・マーク・クアルト(フィリピン)に9ラウンドKOで勝利。暫定ながら史上初の偉業を成し遂げた。半年後の10月7日に行われた王座統一戦では優大がパンヤ・プラダブシー(タイ)に判定で勝利。一方の銀次朗もダニエル・バジャダレス(メキシコ)を5回KOでマットに沈めて兄弟で“正規王者”に輝いた。
優大はしみじみと言った。「こうやって会場に入ってくると、やっぱ銀のこと思い出しましたね。一緒にリングに上がって、一緒に世界チャンピオンになったなとか。ま、会場はここじゃなかったけど。僕たちの格闘技人生20年ぐらいありましたが、ボクシングで経験してきた色々なことの集大成が3150 FIGHTだった。そういう思い入れがあるんです。なんか俺たちの最後の場所だったなって」
現役を引退しても、やっぱり“ボクサーの血”が流れている
