みんなで価値観を変えていかないと“不幸な事故”はまた起こる
2025年は銀次朗以外のボクサーにも“リング禍”が続いた。8月には2人のボクサーが試合後に意識を喪失し、救急搬送された病院で緊急開頭手術を受けるも命を落とす非常に残念な結果となった。自身が世界王者であり“リング禍”の当事者でもある優大は、ボクシングやボクサーを取り巻く環境について次のように私見を述べる。
「原因として考えられるのは周り。周りというのは、トレーナーだったりセコンドだったり、お客さんも含めて、選手じゃない周りの人たちが結構そのムードを作り上げてるような気がしますね」
具体的に“そのムード”はどういうことか――
「セコンドがタオル投げたらどうとか。レフェリーがストップしたらどうこうとか…ボクシングファンの価値観はすぐに変わらないと思いますけど。トレーナーとかレフェリーは唯一選手を守れる存在です。ひとたび選手がリングに上がってしまえば、もう戦う人間だから『止めないでくれ』って言うに決まってます。そこで、“止める権利”がある人たちの判断が周囲の『おい止めんなよ』っていう雑音で鈍る。自分の意思を持って、危険かどうかだけでしっかりと判断するべき。トレーナーやセコンドだって、誰が責任かって別に責めるつもりはないけど、選手だけがプロなんです。選手以外がまだアマチュアなんです。
銀の試合では、俺はサブセコに入れてもらえなかった。試合中はリングの外にいたから、銀とコミュニケーションが取れなかった。俺が銀とコミュニケーション取れていたら、異変に気づくチャンスはあったかもしれない。みんなで価値観を変えていかないとダメ。レフェリーやセコンドの意思を尊重しないと負の連鎖が起こる。遅れ早かれ、きっとまた同じ事故が起きると思っています。でも、ボクシングってそういうもんですから。危険と隣り合わせで殴り合うスポーツなんです。誰も最後の覚悟はできないと思うけど、そういうのを理解しておく必要はあると思います」
(後編に続く)
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