■火山の麓で歩んだ100年と黒神集落
人口およそ58万人の鹿児島市。桜島は海を隔てて4キロ先、鹿児島湾のほぼ真ん中に位置する。
火口から4キロのところにあるのがトミ子ばあちゃんの暮らす黒神集落だ。度重なる火山噴火で過疎化も進み、今ここで暮らしているのは80人ほどだ。
集落のシンボルともいえる黒神埋没鳥居。トミ子ばあちゃんはこの鳥居のすぐそばで、一人暮らしをしている。近くにお店がないため、食料などの生活必需品は隣の集落に住む娘さんが頼りだ。
夫の辰雄さんが亡くなっておよそ30年、一緒に暮らしていた孫やひ孫たちも、学校を卒業して離れて暮らしている。
暖かい日は、日向ぼっこをするのが日課だ。
「いつもこんな感じ?」山野洋介記者
「うん。天気がいいなあ」トミ子さん
「天気がいい時は一日ここでのんびりしているんですか」記者
「ここでのんびりしてヨカニセ(かっこいい男の人)は通らんかねえって(笑)」トミ子さん
通るのはなじみの猫と、迷い込んできた観光客の車くらいだ。
最近、ちょっぴり不満なことがある。それは木が伸びて桜島が見えなくなってしまったこと。「やっぱり桜島が見えないと。見えないからいいけど、見えたら気になる。風はどっちか?風はこっちかって」(トミ子さん、以下同)
大正・昭和の大噴火と幾多の苦難
