■性的サービスに保険適用、介護の一貫に含まれている国も

障害者の性問題は、身体に障害のある人だけでなく知的障害者にも該当する。知的障害者の主な性問題は、人前で性器をいじる、自慰行為、女性への抱きつき行為、親への非難、(身体・知的)女性障害者への暴力などがある。
性暴力について、障害福祉専用のeラーニングを提供しているLean on Me代表の志村駿介氏は「性暴力を愛されていると勘違いする人もいる。愛情表現と素直に勘違いすると、性暴力は見えづらい」と指摘。障害者の性教育については、「教育だけで解決するのは難しくて、本人が性について教えてもらう場所を作らなければならない。例えば15年前だと、支援学校の修学旅行のお風呂の時間などで熱心な先生が教えてあげて、性の自立ができたという声も聞いていた。最近はなかなか少ない現状があるので、事業所や施設で保護者に情報を伝えていかなければならないし、それができる環境を作っていかなければならないと思う。eラーニングではそのような情報を提供していて、学習してくれた現場のスタッフからは、保護者に自分から教えてあげられるようになったという声も出てきている。小さなことかもしれないが少しずつ広めていければいいと思う」と話す。

障害者の性に対する声は国によって異なる。WHO(世界保健機関)は、障害者の性の問題について福祉の現場で相談に応じることなどを推奨。オランダでは障害者が性的なサービスを受ける場合、地域によって保険が適用されるようになっていたり、スウェーデンでは障害者が自慰行為をする際、介護の一貫として補助具の装着や服を脱がすことが認められていたりする。

志村氏はアメリカのオレゴン州で体験した話として、「スタッフが言っていたのは、障害者同士がラブホテルなどに行って、服を脱がせてあげて、避妊具を付けたら外で待ってあげるというのも支援の1つとして組まれている」と紹介。「日本ではこのレベルにいけていないのでそこまで持っていきたい。日本では、障害者の性はないものにされていたし、母親や祖母が制御してしまっている部分もある」と指摘した。
乙武氏は当事者の立場から、「性欲は、食欲、睡眠欲と合わせて3大欲求と言われるが、食事や睡眠と違って生死に関わるものではないということで後回しにされたのだと思う。ただし、ここが封じられると周りが思っている以上にしんどいんだということは理解してほしい」と訴えた。
最後に坂爪氏は「障害のある方が性的に生きやすい社会というのは誰にとっても生きやすい社会だと思う。障害者の性を自分ごととして捉えてほしい」、志村氏は「障害者に必要な配慮をしたうえでノーマルに接することができる社会を実現したい」と述べた。
(AbemaTV/AbemaPrimeより)
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