先日、東京渋谷で「ミタメトーク」なるトークイベントが開催された。参加者の一人であるトリーチャーコリンズ症候群という疾患を持つ石田祐貴さんは、自身の疾患について「顔の周りの骨が未発達で生まれてくる病気」と参加した中高生に対して説明を行い、見た目との付き合い方について「人は未知のものにすごく恐怖を感じる。みんな初めは気になると思うが、気になると思ったら、ストレートに聞いてくれたら嬉しい。その積み重ねが、気にするっていうのを和らげていくことができる」と、障がいに触れることへの“タブー視”における率直な思いを語りかけた。
しかし、障がいに対するタブー視は見た目だけではない。障がい者の「性」もまた、同様の問題を抱えている。圭太郎さん(42)は、3歳の時に脳性麻痺と診断され、以来、車いすの生活を送っている。「自分の意思とは反対に体が動いてしまう障がい」と自らの障がいについて話す圭太郎さんだったが、「生理的現象は普通にある」と付け加えた。そんな圭太郎さんは、障がい者の性の問題について周囲からタブー視されていると違和感を抱えている一人だ。
「知的障害の場合は(性を)知らないケースが多い。中には覚えてしまうと妊娠させてしまうケースもなくはないので、親や職員がタブーにしていることも多い。身体障害の場合、手が不自由な方は夢精でしかない。中には施設の職員が教えて風俗に連れて行ってあげるケースもある」
障がい者の「性」についてリアルな現実を語った圭太郎さんに対して、作業療法士の資格を持ち、障がい者専門の風俗店で働くシズカさんは「ほとんどの方が下半身の感覚がないうえに、手のひらの感覚もない方もいる。視覚的なフィードバックしか得られなくても、そのような行為はしたい。自分がしてるっていうことを視覚的に感じとって喜びたいという方が過半数を占める」と実態を明かした。
シズカさんが現在の仕事に就くきっかけとなったのは、障がいを持った元カレの存在だったという。元カレは尿道に管を入れ、袋に溜まった尿を捨てるという介助行為が必要だった。さらに感覚がないにもかかわらず、その管を抜いてまで性交渉をしたいという願いを常に持っていたことから、「人生経験と職業と過去の恋愛経験と障がいを持つ方の自尊心と自己肯定感の欠如を少しでも軽くする仕事をしたいと思った」と理由を語った。
話は圭太郎さんに戻る。圭太郎さんはバリアフリーの2LDKの部屋で一人暮らしをしている。夜になるとヘルパーが自宅に来て、食事や洗濯、着替えなど身の回りの世話をしてくれることになっている。棚に置かれた携帯電話を手に取っては、思うように操作できず床に落としてしまう圭太郎さん。聞けば、障がい者専門の派遣型風俗店に「女の子をお願いしている」のだという。
しばらく待つと、部屋のインターホンが鳴った。部屋に入って来たのは介助資格を持った男性スタッフと、女性風俗嬢の二人。介助スタッフは準備を整えると、二人を部屋に残して出て行った。圭太郎さんたっての希望により、その様子をモニターで見ていた元日経新聞記者で作家の鈴木涼美氏(35)は「障がい者の動きが遅いというのはあるが、健常者と変わらない」と感想を述べたが、90分で1万8000円という料金については「今の風俗単価だと性介助としては高額すぎるため、福祉のサービスと捉えるとやはり高額。人によっては売春を合法化することで風俗嬢や性介助スタッフも含めて立場を向上させ、成り手を増やそうと活動している人もいる。普通の店舗型の風俗に介護スタッフと一緒に行くのは抵抗があるとか、誰かに連れて行ってもらわなければならないとなると、親に介護をしてもらっている人であれば、親に『今から風俗に行く』と言わないといけない。細かい需要というのは、色んな形態にある」と話した。
最後に圭太郎さんは「隠されていることが多い。オープンになることがいいとは思わないし、無理にオープンにする必要もないけど、隠す必要もない」と話す一方、「障がい者の性について相談できる人がいない。介護の人でもその教育を受けていない人が多い。男性として普通に性欲があり、普通に処理していることを知って欲しかった。タブー視することで情報も理解も閉ざされてしまう。特別視して欲しくない」と取材を受けた本音を明かした。
(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』より)
(C)AbemaTV
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