将棋の王座戦挑戦者決定戦が7月19日に行われ、木村一基九段(48)が佐藤康光九段(51)に132手で勝利し、永瀬拓矢王座(28)への挑戦権を獲得した。木村九段のタイトル戦出場は昨年、藤井聡太王位・棋聖(19)に敗れた王位戦七番勝負以来。現在の将棋界の“4強”を切り崩すべく“千駄ヶ谷の受け師”が、大舞台に挑む。
タイトル通算13期を誇り独創的な棋風を持つ佐藤九段に対し、受け巧者であることから“千駄ヶ谷の受け師”とも呼ばれる木村九段は、中盤以降の主導権争いからじりじりとリードを奪い始めた。佐藤九段が攻めに転じたところでは、持ち味十分の受けを披露。ぎりぎりのところで耐えながら攻めをつなぐと、最後は残していた時間を確実に寄せ切った。
対局後、木村九段は「難しくてよくわかりませんでした。後手番としては、まあまあかと思っていたんですが、結局攻められることになったので、ちょっとどうかなと思っていました」と静かに語ると、永瀬王座との対戦については「充実している方なので、精一杯体調を整えて頑張りたいと思います」と抱負を述べていた。
木村九段は2019年度の王位戦七番勝負で、史上最年少の46歳3カ月で初のタイトルを獲得。悲願達成に、奪取の直後には涙を見せ「中年の星」として多くのファンから祝福された。現在、渡辺明名人(棋王、王将、37)を筆頭に、豊島将之竜王(叡王、31)、藤井王位・棋聖、永瀬王座という4人で8つのタイトルを保持。40代以上のタイトルホルダーがいない中、アラフィフでもある木村九段の挑戦には、タイトルホルダー同士の戦いとはまた違った注目が集まりそうだ。
(ABEMA/将棋チャンネルより)