日本代表元監督のバヒド・ハリルホジッチ氏は、FIFAワールドカップ・カタール大会前でのモロッコ代表監督解任が噂されていた。しかし、モロッコ代表の一部選手と和解に向かっていることから、一転してW杯本大会で指揮を執る見通しとなっているようだ。13日、モロッコ紙『Al Montakhab』など複数メディアが一斉に報じている。
ハリルホジッチ監督はモロッコ代表をカタールW杯出場に導いていたが、チーム内の規律を重んじるがゆえに、チェルシー所属MFハキム・ツィエク(29)やアヤックス所属DFノゼア・マズラウィ(24)、オリンピック・マルセイユ所属MFアミーヌ・アリ(24)の3選手を代表チームから追放。この指揮官の決断に対しては、モロッコ国内から強硬なやり方だという批判の声が上がっていた。
また、先月には王立モロッコサッカー連盟(FRMF)の幹部が「(代表チームから追放されている)彼らが代表チームへ復帰できるようにするために、解決すべき、解決する予定の問題が進行中である」とモロッコ国内メディアのインタビューで発言。FRMFによる3選手の代表復帰やハリルホジッチ監督解任の可能性が取りざたされていた。
さらに今月はじめには、FRMFがかつてオリンピック・マルセイユで日本代表DF酒井宏樹(31)を指導していたアンドレ・ビラス・ボアス氏の招へいに動いていると、カタールのスポーツ専門局『ビーイン・スポーツ』が報道。ビラス・ボアス氏がモロッコ国内にいることが伝えられると、ハリルホジッチ監督の解任が決定的という見方が広まっていた。
しかし、ハリルホジッチ監督は「代表チームから追放した3選手と和解する」というFRMFからの要求を受け入れたとのこと。すでにマズラウィとは直接面会しており、笑顔でのツーショット写真がSNSで拡散されていることから、同選手の代表復帰は近いとみられる。
また、指揮官はツィエクとアリについても今後面談を行うなど関係改善に努めるとのこと。来月1日に国際親善試合・アメリカ戦を控える中、問題解決に向かっているようだ。
一方でオランダ紙『AD』は11日、FRMFがハリルホジッチ監督を解任できない理由として「モロッコがワールドカップに出場した後での解任の場合には、違約金を支払うという条項も契約内容に含まれているはずだ。FRMFは200万ユーロ(約2億8000万円)ともいわれる金額を支払うことはできないだろう」と説明。FRMFがハリルホジッチ監督の即座解任に踏み切らず、一部選手との妥協点を探っていた背景に違約金の存在を指摘している。