所属するヘンクではジュピラー・プロ・リーグのアシスト王と年間最優秀ゴール賞を獲得。日本代表ではFIFAワールドカップカタールアジア最終予選での4試合連続ゴールなど、本大会出場権獲得に大きく貢献した伊東純也。
自身のプロキャリアでも最長となる3年半、ヘンクに在籍し、ゲームキャプテンも務めるなど、個人としては充実したシーズンとなった。
日本代表としては最終予選の活躍で、日に日に期待感も増え、6月の4連戦、11月に迫ったW杯本大会での活躍も期待される。
シーズンが終わり、日本代表に合流する直前の5月末、伊東に話を聞いた。
インタビュー=小松春生
取材協力=プーマ ジャパン株式会社
■「もう3年半か」という感じ
―――今シーズンを振り返って、どんなシーズンだったでしょうか。
伊東 チームはレギュラーシーズンで8位に入り、プレーオフで6位まで行って。レギュラーシーズンで8位に入らないと、4月でシーズンが終わっていたので、よくないシーズンでしたけど、最低限はやったかなと思います。
―――個人のプレーはいかがでしょう。
伊東 1年を通じて、比較的良かったと思います。ヘンクも長くなり、慣れた部分もあると思います。昨シーズンは得点とアシストがそれぞれ二桁取れましたけど、ゴールに関わった合計回数としては今年の方が多くて。だから、結果としてはよかったと思います。
―――チームからの要求や自分のプレーを意識的に変えたりはしたのでしょうか。
伊東 いや、特に変わったことはなくやっていました。もう少しゴールが取れればよかったですけど、その代わり、チャンスメイクはすごくできていたと思います。
―――3月20日のクラブ・ブルージュ戦では2トップの一角も務めました。
伊東 戦術的に監督が5バックをやりたいということで、サイドのポジションがなくなったので、やりました。ゴールも取りましたし、昔FWもやっていたので、違和感なくやっていました。
―――ベルギーでのプレーは3年半になり、自身のキャリアで最長在籍プロクラブとなりました。
伊東 コロナのせいですごく早く感じましたね。「もう3年半か」という感じです。
■(結婚して)食事の面で助かりました
―――今シーズンは21年9月のシント・トロイデン戦でキャプテンマークも巻きました。在籍年数や年齢もあって、チームでの立ち位置変わりましたか?
伊東 チームメイトは若く、僕が上から2番目の年齢なので、スタメンだと結構な確率で一番上です。言葉がしゃべれないので、キャプテンはやりたくないんですけど、あの時はシント・トロイデンが相手だったので、監督から「日本人を負かしてこい」みたいな感じでやらされました(笑)。
―――伊東選手は常々、「いつでも自分がやることは変わらない」と話していますが、海外でのプレー、生活を続ける中での変化はいかがでしょう。
伊東 そんなに変わっていないと思いますけど、プレーの幅は広がったと思います。試合に出られないこともないので、メンタル的にも安定してやれていました。私生活も不自由なく過ごせていますし、特に困ったこともないですね。
―――21年10月には結婚も発表しましたが、サポートもあると思います。
伊東 食事の面は助かりました。一人の時は作るのが苦手で(笑)、外食ばかりだったので。
―――10代の時は野菜をほとんど食べなかったそうですが、変わりましたか?
伊東 プロに入ってから野菜を食べ始めたくらいだったんですけど、今は油ものより野菜の方がいいですね(笑)。プロ選手としての意識から野菜は食べ始めましたけど、今度は油ものを食べる量が減ったので、体が受け付けなくなりました(笑)。
■サプライズを起こしたい
―――日本代表についてもうかがえればと思います。改めて最終予選を振り返っていかがでしたか?
伊東 最初の3試合で2敗して、苦しいスタートでしたけど、結果6連勝して突破できたのでホッとしています。よかった、ということが一番です。
―――出場が決まったことで、ようやく本大会を見据えることができます。
伊東 スペイン、ドイツとできるというのは、本当に難しいことですけど、楽しみではありますし、何とかサプライズを起こせればという気持ちでいます。
―――組み合わせが決まったときは?
伊東 別にあまり…くらいな感じでした。チームメイトからはめちゃくちゃ言われましたけど、自分的には全然でしたね。どこと対戦しても難しい試合になると思うので、むしろ本当に難しい相手に挑戦できるということは、いいことだと思います。
―――最終予選の活躍もあって、伊東選手に期待する声もどんどん高まっていきました。
伊東 4試合連続ゴールなんて、人生でもなかったくらいで。“持っていたかな”というのはありますけど、得点できたのは、たまたまだと思っています。ここまで1試合1試合必死にやってきただけですけど、応援していただける声、期待には応えたいですね。
―――ここからW杯に向けても大事な4連戦があります。
伊東 まずは4試合ありますし、ブラジルなどとできるチャンスがあるので、自分たちの力を試して、修正して…ということが大切な試合になると思うので、大事にしたいですね。
―――チームとしての戦いが一番ですが、その中で個人としても数字で示したいですか?
伊東 それは毎試合ゴール、アシストをしてやろうという気持ちでいますし、相手が強い国であろうと、変わらずやりたいと思います。