カタールでは優勝なるか

日本代表がワールドカップ・カタール大会グループステージ第3節で戦うことになるスペイン代表。現在はネーションズリーグを戦っており、3日にポルトガル代表と対戦。1-1のドローに終わっている。

スペイン代表といえばボールを保持して戦うイメージが強い。常にボールポゼッションは相手を上回り、ポルトガル戦でも61%の支配率を誇った。そうしたボール保持を基本としたスタイルを強みに以前は欧州で圧倒的な成績を残している。EURO2008、ワールドカップ・南アフリカ大会、EURO2012とメジャーな国際大会のタイトルを一時は総なめにしていた。しかしそこから優勝がなく、最高成績はEURO2020のベスト4と長い期間タイトルから離れてしまっている。

だが、直近の欧州選手権で好成績を収めたことによってスペイン代表は以前の強さを取り戻しつつあるといった声が聞こえてくるようになった。その大きな要因はルイス・エンリケ監督の存在だ。元バルセロナ指揮官がチームのスタイルに変化を加え、より現代的なサッカーにアップデートしている。

攻撃では縦に速いサッカーが見られるようになった。以前はまず相手を押し込みそこからどう崩すのかが彼らのスタイルであったが、ボールを奪えば多くの選手が前に走り出し、ゴールを目指す。ポルトガル戦では早い段階で右サイドからフェラン・トーレスがクロスを上げるような場面もあり、変化が見られている。

25分の先制点の場面ではまさにその縦に速い攻撃で1点を奪った。以前のスペイン代表では見られることが少なかった攻撃だが、その場に応じて攻撃の判断を下せるのが今のラ・ロハの強みである。

それでいて以前のようなボール保持は強みとして残している。アンカーのセルヒオ・ブスケッツを中心とした後方からの組み立ては素晴らしく、日本代表のハイプレスは通用するのだろうか。

守備では即時奪回が目立つ。中盤でボールロストすればその場に近い2から3人の選手が相手のボールホルダーを囲みボールを奪い返そうとする。奪えればそこから速攻でゴールを目指し、奪えなければ自陣に引いてブロックを作る。EURO2020の計6試合で複数失点したのはラウンド16のクロアチア戦(〇5-3)のみであり、堅守も強みとしている。

日本代表としてはこの積極的な守備を上手くかわして攻撃を前進させたい。即時奪回はすぐにカウンターにつなげることができる有効な手段だが、そこをかわすことができれば前には広大なスペースが生まれることになり、逆にカウンターを仕掛けることが可能だ。スペイン代表には守備職人とされる選手は少なく、ボール保持時に強みを発揮するタイプのDFが多い。アイメリック・ラポルトやエリック・ガルシアらがそうだ。そのため縦に速い攻撃を苦手としており、ポルトガル戦でも一瞬の隙を突かれ失点を喫している。

エンリケが監督となり攻守両面での改革が見られるスペイン代表。ポルトガル戦ではペドリら主力が数名不在であり、真のラ・ロハではなかった。だが12月に日本と対戦する際はシーズン中と選手たちのコンディションも整っており、モチベーションも高い。本気のスペインが日本代表の前に立ちはだかることになる。