課題が見つかる収穫のあるゲームだった

6日に国立競技場で行われた日本代表対ブラジル代表の一戦は0-1とブラジルの勝利に終わった。サムライブルーとしては堅守を見せ失点を1に抑えたが、枠内シュートゼロと攻撃面では課題の残るゲームとなってしまった。

特に気になったのは後方でのビルドアップだ。どうやって攻撃を前進させるのかが明確になっておらず、個人の能力に依存したものになっている。それでもある程度、攻撃を前進させることができたのはアンカーで先発となった遠藤航の能力の高さにある。前半6分の場面がその最たる例であり、遠藤の個人技で相手をかわし前線にパスを供給している。これがどの場面でもできればいいのだが、その後は日本のビルドアップ時にネイマールとルーカス・パケタが遠藤へのパスコースを消しており、ビルドアップが機能しなくなってしまった。

ではどうすればいいのか。それはブラジル代表がお手本のようなビルドアップを披露してくれている。前半29分の場面だ。日本も相手の組み立ての中心となるアンカーのカゼミロへのパスコースを消しており同じ状況を作り出したが、右サイドバックのダニエウ・アウベスが中央にポジションを取り、サイドへのコースを開けている。そこに中盤のフレッジが降りて最終的にセンターバックからフレッジにパスを通され攻撃の前進を許している。アウベスが直接ボールに関与したわけではないがポジションを一つ動かすことで状況を打開している。日本もビルドアップで困った際はこういった配置を生かした組み立てを参考にしたい。

またビルドアップの際に遠藤への負担が大きくなるのであれば、アンカーを守田英正に代えるのも悪くない選択肢だ。負傷の影響で日本代表から離脱してしまった同選手だが、彼もアンカーを務められる選手であり、ボールの扱いは遠藤よりも上だ。ボールを刈り取る力は遠藤に分があるのだが、攻撃が前に進まないのであればよりボールの扱いに長けた守田を試したい。また遠藤不在時のプランが確立されておらず、残りの2ゲームでは遠藤抜きで戦うことも考えたい。

ブラジル相手に堅守は通用したが、ビルドアップでの機能不全を痛感することになった日本代表。幸いどの選手も海外でのプレイ経験があり、ボールを足元で扱うスキルは高くプレッシャーにも強い。そのためブラジルが見せたようなプレス回避のパターンが日本にも見つかればビルドアップもスムーズになるはずだ。