アルゼンチン代表が3度目の優勝を飾り、幕を閉じたカタールワールドカップ。大会を通じての収益は170億ドル(約2兆2500億円)を見込んでいるが、これは費やした費用の13分の1に当たる。費用に比べれば見劣りする収益だが、将来を見据えた上で効果はあると、英メディア『フィンショット』が報じている。
史上初の冬開催になったカタールワールドカップだが、冬でも暑い気候を考慮して、冷房を完備するスタジアムが建設された。さらにインフラやホテルも整えるために多額の費用を費やし、2000億ドル(約26兆5000億円)の支出があったとされている。2018年のロシアワールドカップの費用160億ドル(約2兆1200億円)、2014年のブラジルワールドカップの費用200億ドル(約2兆6500億円)、2010年の南アフリカワールドカップの費用70億ドル(約9300億円)と比べると、桁違いな金額だ。
それだけの費用を費やしたことには意味があると同メディアは伝えている。同メディアによると、カタールは2030年に向けて壮大な国家ビジョンを掲げており、オイルマネーだけに頼ることからの脱却を視野に入れているようだ。いつか石油が底をついてしまうことと、各国がクリーンなエネルギーに移行していることが関係しており、インフラに多額の資金を投じることによって、海外からの旅行客や企業にとってより魅力的な都市を築くことを目指しているという。
英メディア『ミドル・イースト・モニター』の試算によれば、カタールは2022年と2023年に3.4%の成長を見込んでおり、世界中で合計約50億人がワールドカップの試合を観戦したことから、将来的には約4000万人がカタールを訪れることが推定されるようだ。