決して名場面とは呼べないが、フットボールファンにとって忘れられないシーンであることは確かだろう。

 米スポーツチャンネル『ESPN』は現地時間6月6日、11月から開幕するカタール・ワールドカップを控えた同国で、元フランス代表MFジネディーヌ・ジダンが、元イタリア代表DFマルコ・マテラッツィに頭突きしている銅像が再び、設置されると伝えた。

 2人の揉め事があったのは、2006年ドイツ・ワールドカップの決勝戦。PK戦の末、フランスを下したイタリアが4度目の戴冠を果たすことになるこの一戦、7分にジダンがPKで先制点を挙げ、19分にマテラッツィが同点弾を決め、1-1のまま延長戦に突入する。そして110分、2人の間で何かがあったのか、ジダンがいきなりマテラッツィに頭突きを食らわせて退場処分となった。カタールではこの強烈なシーンを模した銅像が創られ、2013年に博物館に設置された。
【画像】W杯決勝でジダンがマテラッツィに頭突きした瞬間! 一時は撤去されたブロンズ像をチェック
 ただ、国内の保守的なイスラム派から「暴力を称賛している」「偶像崇拝を助長する」という反発にあい、公開した数日後に撤去せざるを得なくなったという。

 しかし、どうやら風向きは変わったようだ。王族のひとりであるカタール博物館のシェイカ・アル=マヤサ・アル=ターニ館長が、「博物館にあるのはふさわしくないが、ワールドカップの開催を記念して新しく創立するスポーツ博物館にはふさわしい」と再展示の意向を明らかにしたという。

「この銅像はアスリートへのストレス、そしてメンタルヘルス、コントールの問題に対処することの重要性を喚起できる。ジダンはカタールの偉大な友人だ。彼はアラブ世界にとって偉大なロールモデル。芸術はほかのものと同様に好みは分かれるもの。でも、人々の目標になり得るものは、隠す必要はない」

 ちなみに、『ESPN』が記事を告知したSNSには様々な意見が寄せられた。「選手たちは礼儀正しくいることをやめようとするだろう」「若い選手に悪影響があるかもしれない」「それは起こったことであり、象徴的な瞬間だ」「歴史的な瞬間でもある」「真似はしなくていいが、無かったことにはならない」といった声が集まった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部