日本代表の森保一監督が、ガーナ代表戦を振り返った。

10日、キリンカップサッカー2022でガーナと対戦した日本。ブラジル戦からメンバーを変更し、[4-2-3-1]とかつて採用していたシステムで臨んだ。

試合は前半から日本が押し込んでいくと、29分に右サイドを山根視来、久保建英、堂安律で崩すと、最後は山根が左足でネットを揺らして先制する。

その後ミスからジョルダン・アイェウに決められて追いつかれるも、終了間際に左サイドから三笘薫がクロス。これがそのままゴールに吸い込まれ、前半を2-1で折り返す。

後半は徐々にガーナに押し込まれる時間が続いていたが、サイド攻撃をやめなかった日本は73分に三笘の突破から最後は久保がゴールを決めて日本代表初ゴール。さらに82分には途中出場したばかりの前田大然が同じく途中出場の伊東純也のクロスに飛び込み、こちらも代表初ゴール。4-1で勝利、チュニジア代表が待つ決勝へ駒を進めた。

試合を終えた森保監督は、初ゴールの久保と前田についてコメント。「トライし続けてくれていること、この試合でも個人の結果を出していくということかつ、自分だけでなくチームの中で自分の良さを出していこうとしたことがアシストを受ける形で得点につながったと思っています」と、それぞれがトライを続けた結果、周りからのサポートを受けての初ゴールになったとした。

また、「彼らは結果が出ても出なくても、日々努力し続けることが今日の得点という結果に繋がったと思いますし、チームの戦い方の中で献身的にプレーして来れたことが結果に繋がったと思います」とし、チームコンセプトに対してしっかりとやってきた報いだとした。

試合の終盤には、伊藤洋輝、谷口彰悟、板倉滉の3バックを試し、[3-4-3]の形に。森保監督は「3バックには80分過ぎから中山を投入してシステム変更しました」と語り、「攻撃にしても守備にしてもオプションをまた1つ増やすということができる状況だったということ。選手たちのそれまでの頑張りによって試合中にすることができました」と、リードを広げたことで試すことを決断したという。

3バックの評価については「無失点に抑えつつ、しっかり守備をしてウイングバックが高い位置をとっていく、守備から攻撃にカウンターという形でチームの戦い方の幅が広がったと思っています」とし、一定の手応えを感じたようだ。

サンフレッチェ広島時代を含め、東京オリンピック世代でも[3-4-2-1]を使っていた森保監督は、日本代表でも就任当初は実施していた。

しかし、W杯予選ではほとんど使わず、[4-3-3]という新たなシステムに。その理由については「ここ最近を振り返ると試していないですが、ヨーロッパ遠征だったり、立ち上げたばかりの頃は3バックでやりました」と過去を回想。「オプションとしては持っていましたが、まずはベースを4バックにして[4-2-3-1]、[4-1-4-1]という形から、相手がマッチアップしてきて3バックになってミスマッチになるところで、修正力を上げなければいけないので、あまりオプションに走らず、ここ最近は3バックをしていなかったです」とコメント。「アジア最終予選で何度も3バックで戦おうとも考えましたが、ベース作りをしようということで、最終予選では試しませんでした」と、頭の中にありながらも、実行はここ最近していなかったという。

今日の試合では、ブラジル戦で通用しなかったサイドの個人突破というよりも、連携・連動で崩すシーンが多かった。特に1点目のプレーはダイレクトのパス交換からのゴール。あの崩しについては「右サイドの連携については昨日のトレーニングで確認していましたし、攻撃の部分で良い形が出ていた中で、今日の練習で確認したこと、お互いが良さを出して堂安、久保、山根が良い形で絡んで得点になったと思っています」とコメント。「練習で配置を確認しましたが、練習で、そして練習を終えてから試合に向けてコミュニケーションを取って良い形で結果になったと思います」と語り、得点に絡んだ3人が鹿kりと連動できた結果だとした。

個で崩す力が必要な上で、連携・連動して崩すことも必要な日本。「ブラジル戦の振り返りということですでにミーティングをしていて、この試合を前にブラジルと戦って、世界のトップトップに勝つには何が必要か。個の力を上げていくことはもちろん大切なことですが、個を高めつつも、チームとして組織的に連携・連動を高めていくことは、ブラジルという世界最高のチームと対戦したことによってわかった」とコメント。「さらに連携・連動の部分のクオリティを上げる、速度を上げていくというところを補っていかないといけないということをミーティングで我々スタッフが話し、それを聞いてくれて、今日の試合でトライしてくれたのかなと思います」とコメント。ブラジル戦からの教訓をしっかりと生かせた形だという。

「個のレベルを上げなければ、強い組織は作れないと思いますが、個の強さだけ、個々が局面で戦うだけで世界と戦えるかというと難しいことをブラジルが教えてくれたと思います」と、個で打開するだけでは通用しないことを痛感。「個の力を高めつつも組織力を高めていくということを選手たちが実践して来れたと思います」と、個と連動を合わせられたことが良かったとした。

一方で失点シーンはパスミスから。後ろでボールを回す中、ビルドアップしようと山根が中央へパス。これが相手に渡り、そのままシュートを決められてしまった。

失点に繋がった痛恨のミス。森保監督は「(山根視来)視来とあのプレーの判断については話していないですが、パスを出そうとしたのか、違うところに出したのが思うようにいかなかったのかわからないです」とし、「ただクリアをするだけでなく、守から攻のところでできるだけボールを繋ぐ、マイボールでボールを保持しながら組み立てるということを選手たちにはこの試合に向けて話していました。ミスはどういう形でのミスかわからないですが、失点にも繋がっているので改善してもらいたいと思います。ただ、私が選手たちにやってほしいということを選手たちが恐れずに勇気を持ってチャレンジしてくれたことは評価したいです」と語り、チームコンセプトである繋いでいくことをやった結果だとした。

「ただ、ロストしたから失点になりましたということではなく、パラグアイ戦も今日の試合も、ブラジル戦のPKのシーンも、ボールを繋ぐことはしっかりやっていかなければ勝つ確率は上がらないと思いますし、トライしてもらいたいというのと、ロストした時に絶対守れるというところをチームとしてやりたいと思います」とコメント。この3試合での1失点は全てビルドアップを奪われてのものであり、勝つために必要なことを求めながらも、ミスした時に守り切れていないことが課題だとした。

中3日での4連戦も残り1試合。カタールW杯を想定しての戦いも残りわずかとなっている。

W杯のシミュレーションとしての手応えについては「まず中3日ということは選手の次の試合に向けてのリカバリーというところを体感してほしいということでシミュレーションとしています」とコメント。「メンバーを変えるかどうかというのはその時によりますが、中3日の使い方という点では、選手たちにはコンディションを保ってもらいたいということを狙っています」と、本番でのコンディション作りに慣れてもらいたいとした。

また、「我々スタッフもどのように試合を終えたあと振り返り、次の試合に向けて選手たちがフィジカル的なコンディション作り、メンタル的なイメージ作りをしていけるかを試行錯誤してやっていこうということでW杯本番を想定しているとしました」と裏側の作業についても本番を想定して動いているとのことだ。

選手たちのメンタル面については「ブラジルと戦って、あのくらいの強度であったりクオリティの中で戦って、ブラジル戦を敗戦しましたが、そこでメンタル的に引きずることなく、次に向けて立て直すということは、W杯本大会でできれば初戦勝ちたいですが、そうでないことも起こり得ると思うので、今回選手たちのメンタル的なリカバリーの反応を見せてもらいました。これをW杯本番でも何があっても我々がやるべきことをやり続けていきたいと思います」と語り、敗戦後にしっかりとバウンスバックしたことを称えた。