6月14日のチュニジア代表とのキリンカップサッカー決勝で0−3の惨敗を喫した日本代表。とりわけ低調だったのが、3失点に絡んだキャプテンの吉田麻也だ。
 
 55分の1失点目は、吉田が不用意なファウルで与えたPKから。板倉滉がカバーに入っていただけに無理にスライディングにいく場面ではなく、このシーンに関しては本人も「シンプルに個人的なミス」と肩を落とした。
 
 また76分の2失点目はロングボールに対して吉田と板倉が中途半端な対応をしたことから生まれ、93分の3失点目も吉田のパスミス&甘い寄せが発端だった。
 
 CBはそもそも失点に関与しやすいポジションとはいえ、いずれも個人的な判断ミスが起因だけに、この日の吉田は失望でしかなかった。
 
 キャプテンだけに簡単に外せる存在ではないが、11月に開幕するカタール・ワールドカップに向けて「このまま吉田が最終ラインの軸でいいのか?」という議論は今後もちろん出てくるだろう。実際、本人も危機感を口にした。
 
「いくら良いコメントを残そうが、良いアクションをピッチ外でしようが、サッカー選手なのでピッチ上のパフォーマンスが最も影響力が大きいと肝に命じています。それが今日はできなかった。もちろん監督からの信頼は感じますけど、どんな世界でも信頼は積み上げていくのは時間がかかるし大変なのに、とくにサッカーはワンプレーで人生変わるし、信頼を失ってしまう。そのことも重々理解しています」
 
 ワールドカップ・メンバー決定まで日本代表に残された強化試合は9月の2試合のみ。各選手はその最終テストの場に向けてクラブでアピールしたいところだが、吉田の場合はサンプドリアとの契約がこの6月31日で満了し、その延長有無を含めてまだ今後の身の振り方が決まっていない。だからこそ、より一層の危機感を持っている。
 
「ここから9月に向けて、なるべく早く良いチームで試合に出てコンディションを作って万全の状態で臨まないと、自分自身のポジションも危ういのは理解している」
 
 2014年のブラジル・ワールドカップと2018年のロシア・ワールドカップでは、いずれも最終ラインの大黒柱として全試合にフル出場していた吉田だが、カタール・ワールドカップに向けてその足場はかつてないほど揺らいでいる。
 
取材・文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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