W杯へ苦しい時こそリーダーが欲しい
日本のサッカーファン以上に、世界のサッカーファンの方が特別な眼差しを向けているかもしれない。今年のワールドカップ・カタール大会は、日本代表にとって2006年大会以来となる『本田圭佑抜きでの大会』となる。
大会前の親善試合で結果が出なかったことから否定的な見方もあった2010年の南アフリカ大会でチームを救う2ゴールを決めた本田は一躍ヒーローとなり、日本代表は国外でのワールドカップで初となるベスト16入りを果たした。ここから本田劇場はスタートし、日本は常に本田を中心に上を目指してきた。
知名度ではインテルでプレイしたDF長友佑都、ドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドへ向かったMF香川真司も高いが、本田の存在感は独特だ。ワールドカップでは2010、2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会と3大会続けてゴールを決めており、世界のサッカーファンの中には本田こそ日本代表の象徴と考えていた人もいるだろう。
英『Planet Football』もカタール大会が5カ月前に迫ったこのタイミングで改めて本田のことを取り上げており、日本代表が2006年のドイツ大会以来となる本田抜きのワールドカップへ臨む点に注目している。つまり、日本には新たなヒーローが求められているのだ。
今月、日本代表はパラグアイ代表とガーナ代表には勝利した。しかしブラジル代表、チュニジア代表相手には枠内シュートゼロで敗れてしまい、攻撃面には課題も残る。特にチュニジア戦で0-3の敗北を喫したことはショックが大きい。
こうした苦しい状況でこそチームを前に進める強烈なリーダーが欲しい。本田はもちろんだが、絶対的な主将だった長谷部誠ももう代表には参加していない。最終ラインには川島永嗣、吉田麻也、長友と過去のワールドカップを知る経験豊富な選手が揃っているが、課題となっている攻撃面でリーダーシップを発揮できる選手が不足している。今回は外れていたFW大迫勇也くらいだろうか。
ワールドカップでドイツ、スペインからどうゴールを奪っていくのか。戦術や足下の技術ももちろん大切だが、こうした大一番では強烈なメンタリティも大切だ。本田はそれを持っている珍しい日本人選手だったが、果たして今の日本を前線から引っ張っていくのは誰か。伊東純也のスピード、三笘薫の仕掛ける能力など、これは本田が持っていなかった武器だ。だが、同時に本田のようなメンタルを持つ選手も見当たらない。
本田抜きでも日本は決勝トーナメントへ進んでいけるのか。世界から見れば、日本は2006年大会以来では初のミッションへ挑むことになる。