気になるセンターラインの顔ぶれ

ワールドカップを制したチームには、次の4年間へ向けて大きく2つの選択肢がある。4年前の優勝メンバーを中心に次のW杯へ臨むのか、思い切ってフレッシュな選手を投入して世代交代を図るかだ。

今月のネーションズリーグ4試合で2分2敗と結果が出なかった前回王者フランス代表にも、この悩みがある。

気になるのは、4年前のロシア大会を制したセンターラインが崩れてきていることだ。最終ラインを統率するセンターバックのラファエル・ヴァランは怪我が目立ち、マンチェスター・ユナイテッドでも良いシーズンを過ごせていない。4年前より良い状態にあるとは言えないだろう。

ボランチのエンゴロ・カンテも負傷での離脱を何度か経験している。コンディションが整っている時のカンテはまだまだ脅威だが、怪我が癖にならないかは気に掛かる。

また、ロシア大会でコンビを組んだポール・ポグバも万全とは言い難い。ロシア大会ではマジカルなプレイを見せてくれたが、クラブの方ではマンUで結果を残せなかった。今夏にはクラブを離れることになり、新天地で上手くいくかも分からない。

そしてロシア大会で前線からチームを引っ張ったFWアントワーヌ・グリーズマンの状態だ。グリーズマンは所属するアトレティコ・マドリードで結果を出せず、衰えを指摘する声が出ても不思議ではない。

悩ましいのは、フランスが世界的なタレント集団であることだ。センターバックならリヴァプールのイブラヒマ・コナテ、マルセイユのウィリアン・サリバ、バイエルンのダヨ・ウパメカノなど若いセンターバックが成長しており、4年前の優勝を知らない彼らをヴァランに代えて抜擢する案もある。

守備的MFならレアル・マドリードへの移籍が決まったオーレリアン・チュアメニ、アストン・ヴィラに移籍するブバカル・カマラ、マルセイユで走り続けるマッテオ・グエンドウジらもいる。

グリーズマンの代わりなら、ライプツィヒのクリストファー・エンクンク、レヴァークーゼンのムサ・ディアビもいる。スピードならバイエルンのキングスレイ・コマンも選択肢だ。グリーズマンにこだわり続けるべきなのか、これは意見が分かれるだろう。

そして現フランス代表の前線で最大の目玉となっているカリム・ベンゼマ&キリアン・ムバッペのコンビについても、英『The Guardian』は思ったほどのコンビネーションは見られていないと不安視する。

両者はクラブで充実のシーズンを過ごしており、ネームバリューだけなら世界最高級のコンビなのは間違いない。ただ、機能するかどうかは未知数なところもあり、代表監督ディディエ・デシャンはワールドカップ本番までに2人の連携を完成させなければならない。

ワールドカップ制覇は最強の証明であり、その優勝メンバーに手をつけるのは勇気がいる作業だ。特にデシャンのように続投している監督なら尚更だ。

カタール大会で豊富な若手にバトンを託すのか、それとも4年前のセンターラインを信じて連覇を目指すのか。本番までテストできる時間は限られているが、今月のネーションズリーグの結果から前回王者フランスの周辺がにわかに騒がしくなってきた。