連覇へのカギを握る男

ここ最近のFIFAワールドカップでは、前回王者がグループステージで姿を消す事態が続いていた。2006年大会を制したイタリア、2010年大会を制したスペイン、2014年大会を制したドイツは4年後にグループ敗退の屈辱を味わっている。

同じことが2018年大会王者フランスにも起きるのではないか。大会前からMFエンゴロ・カンテ、ポール・ポグバ、FWカリム・ベンゼマら主力に離脱者が出ていたこともあり、フランスにもネガティヴな予想があった。

しかし、フランスはあっさりとグループで2連勝。決勝トーナメント進出を早々に決めた。

やはり注目すべきはFWキリアン・ムバッペだろう。初戦のオーストラリア戦でも得点を記録していたが、26日のデンマーク戦では2ゴールを奪ってチームを勝利へ導いた。圧倒的なスピードは相変わらずの脅威で、デンマーク守備陣も対応できなかった。

ムバッペはこれで代表での得点数を31ゴールに伸ばした。これは同国のレジェンドMFジネディーヌ・ジダン氏と同じ数字だ。もちろんムバッペとジダン氏ではポジションが違うが、チームへの影響度はすでにジダン氏に近いものがあるのではないか。これで23歳というのだから恐ろしい。

この日も最前線で体を張ったオリヴィエ・ジルー、今大会はいつも以上に守備での貢献が目立つアントワーヌ・グリーズマン、4年前より得点力が上がっているムバッペと、前回大会でもチームを支えた3トップが存在感を放っていた。

そこにウスマン・デンベレも絡む攻撃は見事と言うしかないが、フランスに連覇はあるのか。ムバッペがこのペースを維持できるなら、フランスを完璧に抑え込むのは難しそうだ。