日本代表は今月の欧州遠征でアメリカ、エクアドルと対戦する。

 カタール・ワールドカップに向けて、大事な強化試合になる。アメリカは、日本がグループステージ2戦目で対戦するコスタリカと同じ北中米・カリブ海地域のチーム。“仮想コスタリカ”と言える一戦だ。

 招集されるメンバーは約30人になるようだけど、7月のE-1選手権で活躍したJリーグの選手も呼ばれるのではないか。大迫や酒井ら、コンディション不良の主軸選手がいない形を試す必要もありそうだし、多めに呼ぶのだろう。

 例えば、伊東はクラブでフォワードを務めている。日本代表でのポジションは右ウイングだけど、もともと真ん中からもシュートを決められる選手。ワントップのオプションにはなると思うよ。

 ただ、チームのコンセプトや骨格はもうできている。森保監督は「9月遠征で招集外でもカタール・ワールドカップに呼ぶ場合もある」と言っていた。監督としては、選手のモチベーション維持のためにも必要なコメントではあるけど、どれだけの“新戦力”が食い込んでくるか。
 
 欧州組に関して気になっているのが、三笘と久保のチーム内での立ち位置だ。三笘は、チームが4位につけているけど、スタメンを掴めてはいない。久保は初戦で下位チーム相手にゴールを決めたが、直近ではアトレティコ・マドリー戦でスタメン落ち。ナイジェリア人FWが加入したし、三笘とともに、ここからが正念場だ。ワールドカップを見据えても、クラブでコンスタントに出場機会を得たい。

 また、強豪国のレベルは、今週始まったチャンピオンズリーグでもはかれる。古橋がリーグ戦で大活躍しているけど、チャンピオンズリーグでセルティックはレアル・マドリーに完敗した。欧州のカップ戦で、日本人選手のいるチームが結果を残せれば、ワールドカップに向けても、期待が高まるんじゃないかな。

 ワールドカップが近づいてきているけど、国内では今ひとつ、盛り上がっていない印象だ。日本のスポーツ界では、野球の大谷がメジャーリーグで2年連続MVPをとれるかが大きな話題になっている。サッカーも負けていられない。アメリカ戦とエクアドル戦では、「日本代表はこれだけやれるんだ」という良いイメージを残してほしいし、大きなニュースになるような好内容に期待したい。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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