いよいよ2ヶ月後に迫ったFIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯・2022年11月21日開幕)。もちろん筆者もフットボール界の祭典を待ち望むファンの1人であるが、1つ懸念点を提起すれば、今回のW杯が11月開催というイレギュラーな試みであることから、欧州で活躍する日本人選手たちが順調にコンディションを上げることができるかという点である。
Jリーグと違い、いわゆる「秋春制」が採用されている欧州リーグの新シーズンは8月に開幕。別のクラブに移籍した選手ならなおさら、新しい環境、新しい人間関係、新しい戦術など適用することに神経を尖らせなければならず、必ずしもハイパフォーマンスを継続しにくい。日本代表のメンバーについては、新シーズン開始後1-2ヶ月程度経たタイミングでのパフォーマンスを選考基準にするべきだろう。
欧州で新2022/23シーズンが開幕して1ヶ月ほど経った今、ここでは、世界から警戒されている海外日本人選手たちをご紹介したい。
板倉滉(ボルシア・メンヒェングラートバッハ/ドイツ)
今2022/23シーズン、ドイツのシャルケからボルシア・メンヒェングラートバッハへ所属を移したDF板倉滉。活躍著しく、開幕戦からスタメン起用され早速チームの堅守に貢献している。特に8月28日に行われたブンデスリーガ第4節のバイエルン・ミュンヘン戦では、相手に33本のシュートを打たれながら1失点に抑え、アウェイながら勝ち点1をもぎ取った。
またドイツの地で十分通用することが実感できていることは、カタールW杯グループリーグで日本が対戦するドイツ代表との戦いにも十二分に生きてくると考えている。
三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン/イングランド)
2022年7月にプレミアリーグのブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンに復帰したFW三笘薫。ブライトンで出場した時間は限られているが印象的なプレーが多く、スーパーサブ要素を備えていることから脅威として見られている。スタメンこそ勝ち得てないが、交代出場した試合では必ずと言っていいほど左サイドからのチャンスメイクを演出している。
しかし、ブライトンを率いたグレアム・ポッター監督がチェルシーに引き抜かれた(9月8日就任発表)こともあり、チーム全体に何らかの影響が出ることは否定できない。三笘の出場機会がこれまで通り与えられるか、動向をウォッチしなければならない。
古橋亨梧(セルティック/スコットランド)
昨2021/22シーズン、セルティックのスコティッシュ・プレミアシップ制覇に貢献したFW古橋亨梧は、もちろん今シーズンも勢いは衰えない。現在すでに6ゴールを叩き出し、同僚のイスラエル代表FWリエル・アバダと並んでゴールランキング1位タイ。持ち前の決定力は世界でも通用することを証明している。
アンジェ・ポステコグルー監督と共に現地メディアを賑わせており、カタールW杯では最も警戒しなければならない日本人ストライカーではないかと語る識者も多い。
伊東純也(スタッド・ランス/フランス)
この夏にフランスのスタッド・ランスに移籍という新たな挑戦に挑んだFW伊東純也だが、その立ち上がりは順調であると考える。FWフォラリン・バログンとの2トップで攻撃の核となり、ここまでほとんどの試合でスタメン出場。2ゴールを決めるなどオスカル・ガルシア監督の信頼を得ている印象だ。
前所属先のベルギーのKRCヘンク(2018-2022)では、3トップのウィンガーとして機能していたこともあり、伊東が今後日本代表の攻撃システムに柔軟性をもたらしてくれると確信している。古橋とのコンビは、現時点日本代表における最も恐れられる組み合わせではないだろうか。
堂安律(フライブルク/ドイツ)
オランダのPSVアイントホーフェン(2019-2022)からの移籍を決断し、ドイツのフライブルクで順調に持ち味を出しつつあるMF堂安律。多用されるフォーメーションの中でスタメンに定着し、ブンデスリーガ上位進出に貢献している。
またUEFAヨーロッパリーグ開幕節(9月9日対カラバフ2-1)で決めたドリブル突破からのゴールは、今の堂安のすべてが詰まっていると言える。相手を置き去りにする積極的なドリブル突破は日本代表の貴重な攻撃オプションであり、膠着状態が続く試合では必ず生かされると考える。
鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
昨2021/22シーズンのアイントラハト・フランクフルトでの躍進を知る人間は、MF鎌田大地の存在を挙げるに違いない。ボランチ、2列目、シャドー、どの位置でも確かな働きを見せ、今シーズンはすでに3ゴール1アシストを記録。昨シーズンのパフォーマンスを着実に継続できている。
新シーズンを迎えるまでは移籍も報じられていた鎌田だが、結果的にフランクフルトに残留。この決断は、UEFAチャンピオンズリーグやW杯に照準を合わせた賢明な判断だったと考える。