韓国代表の絶対エースが、復活のスーパーパフォーマンスだ。

 現地9月17日、プレミアリーグ第8節のトッテナム・ホットスパーvsレスター・シティ戦が行なわれ、ホームチームが6-2の圧勝を収めた。暫定2位浮上の立役者となったのが、途中出場でハットトリックを達成したFWソン・フンミンだ。

 3-2で迎えた59分、リシャルリソンに代わってピッチに登場。なんとここから怒涛のゴールラッシュを決め込む。73分にカウンターから豪快なミドルを右足で蹴り込んで今シーズン初ゴールを挙げると、84分には狙い済ました左足のコントロールショットで2点目。そしてその2分後にもピエール=エミル・ホイビェアのパスに鋭く抜け出す“らしい”展開から、チーム6点目を奪った。13分間でハットトリックを達成したのである。

 レスター戦は今シーズン初のベンチスタートだった。これまでプレミアリーグ6試合、チャンピオンズ・リーグ2試合のすべてで先発を飾るも、ゴールをマークできずにアシストもわずかに一度と、昨シーズンの得点王はまさかの不振に苛まれる。にわかに批判が高まるなか、トッテナムのアントニオ・コンテ監督は「多くのゴールを決めると、次のシーズンはより難しくなる。それでもソニーはチームメイト、ファン、全体から信頼されているよ。私にとっては決して問題ではない」とあらためて信頼を口にしたが、この日のスタメン落ちは避けられなかった。

 自身への怒りをパワーに変えて、ようやく本領を発揮した30歳。ゴールパフォーマンスは控えめで、笑顔を浮かべることもない。そんなソンの苦しい心情を共有していたのだろう、ハリー・ケインやホイビェアらチームメイトたちがこぞって彼の元に駆けつけ、復活を称えるシーンが印象的だった。
 
 そしてソンの出来をもっとも心配していたのは、他でもない、母国・韓国のファンやメディアだ。ネット上では連日のようにコンテ監督のコメントやソンのパフォーマンス分析などが随時取り扱われ、カタール・ワールドカップ本大会を前に、想定外の不調に見舞われた大エースの一挙手一投足を注視していた。

 そんななかでの驚愕ハット。深夜の韓国はお祭り騒ぎとなった。

『朝鮮日報』は「今日の最初のゴールがどれだけ重要かは、誰もが理解している。そして嵐が巻き起こったのだ」と伝え、『スポータル・コリア』は「ついに待ちに待った大爆発だ。あっという間にトップフォームを取り戻した。もう心配はいらない」と太鼓判。『STNスポーツ』は「英雄が帰還を果たした。ワールドカップに臨む韓国代表にとっても大きな朗報である」と評し、「トッテナムの選手が途中出場でハットトリックを達成したのは、プレミアリーグ発足以降で初の快挙だ」と報じている。

 ホッと胸をなでおろし、気分良く国際Aマッチウイークに臨むソン・フンミン。ワールドカップ本大会でポルトガル、ウルグアイ、ガーナと同組の韓国は今回、コスタリカ&カメルーンとテストマッチを戦う予定だ。はたしてスイッチの入ったソンがどんなパフォーマンスを披露するのか、注目が集まる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】今季初ゴールにも控えめなソン・フンミン。そこにケインや仲間たちが大挙して駆けつけて…