日本代表は9月23日にアメリカ代表と対戦して、2-0で勝利した。カタール・ワールドカップに向けて最後の調整の場となっているドイツ遠征の初戦だったが、その勝利にはどのような意味があったのか。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が語り尽くした。
■エクアドル戦の選手起用
――遠征2戦目となる27日のエクアドル戦では、どのような選手起用をすべきでしょうか。
後藤「余程のアクシデントがない限り使う選手は継続して起用して、オプションとなる選手を入れ替える、というのがいいだろうね。絶対的な選手は吉田麻也と遠藤航、冨安健洋かな。その3人以外は、いろいろなポジションでなるべく多くの選手を試すべきだよね」
大住「伊東純也も中心選手だから、また先発するかもしれない」
後藤「今回も良かった。いきなり開始50秒くらいでシュートを打っていた。自分でボールを奪って、そのままドリブルで持って行ってシュートまで持ち込んでいた。すごいじゃない。伊東は確実に中心選手だけど、アメリカ戦で右サイドでは堂安律も試していた。じゃあ次は、久保建英を右サイドで使ってみるとか」
大住「そうなるなら、久保にはサイドにいることにこだわらないでね、と言いたいな」
後藤「右サイドの方が慣れているから、いろいろ動けるんじゃない。久保はトップ下でのプレーも見てみたい」
■フォーメーションはどうするか
――人選が難しいCFは、古橋亨梧が先発でしょうか。
後藤「そうだろうね」
大住「でも今回は、前田がいて良かったよね。追い回しが効いていたから」
後藤「アメリカ戦でベンチから外れた理由がケガじゃなければ、エクアドル戦では上田綺世も使うでしょう。古橋も使うだろうから、もちろん90分間じゃないけど」
大住「あと、見たいのは田中碧かな」
後藤「そうそう。田中は地元のデュッセルドルフでの試合だし」
大住「じゃあドイツを地元としている選手が多いから、ブンデスリーガ組でメンバーを固めちゃおうか。長谷部誠も来ているし。3バックにして、長谷部を入れればいい」
後藤「長谷部を呼んだのは良いことだよね。いろいろな話を選手に聞かせるだけでも大きい」
大住「ワールドカップでも帯同してほしいよね」
後藤「ドイツ代表選手の、ピッチで対峙した生の情報を持っているからね。選手じゃなくても、特別コーチでいいから。それはさておき、田中を使うとして、システムを4-3-3に戻すのか、あるいは他の使い方を考えるのか、という見どころもある」
大住「オプションを増やすという意味で、あるいは確認のために田中を入れた4-3-3にするのが良いような気がする」
後藤「それとも、4-2-3-1にして、田中と遠藤をボランチで組ませるのか。両方考えられるね」
■本番で使うべきシステム
――本大会では4-2-3-1が基本で、4-3-3がオプションになるのでしょうか。
大住「ワールドカップでは、4-2-3-1の方が安全かな。他チームとの力関係を考えると、そうするのがいいかもしれない。森保一監督はアメリカ戦の前日会見で、押し込まれる時間が長くなる場合、4-3-3で相手選手に付いて守備に下がると、前線には1トップしかいなくなると話していた。4-2-3-1だったら、トップ下がFWとの中間点あたりに残ることになる。そうなると、自陣での守備から攻撃に移る時に、1人が残っているケースよりもやりやすいという考え方らしい。だから、ドイツ戦をイメージすると、予選で使った力技のような4-3-3よりも、4-2-3-1の方がいいのかな」
――では、27日のエクアドル戦も4-2-3-1でしょうか。
大住「エクアドルは厳しく守って、そこからカウンターを狙ってくると思うから、考え方が変わってくるかなあ」
後藤「別に勝つためにエクアドルと試合をするのではなくて、ワールドカップでドイツやスペインとやるための準備なんだから、相手のことは考えなくていい。4-3-3だと、アンカーは1人なので狙われるけど、守田英正と遠藤がアメリカ戦のような状態で入れば、まったく心配はいらない。では、田中がアンカーでも大丈夫かなとか、テストしたいことはいっぱいあるんだから」