デンマークのスポーツブランド『ヒュンメル』は、ワールドカップ(W杯)の開催国であるカタールに抗議することを発表した。

【写真&動画】カタールへの抗議の現れとなったデンマーク代表のW杯ユニフォーム

『ヒュンメル』はデンマーク代表のユニフォームサプライヤーでもあり、19日にW杯で着用するユニフォームを発表していた。

ユニフォームは、ホームが赤、アウェイは白、3rdは黒となっており、無地でデザインは脇と袖口に同系色のラインが入っているのみ。『ヒュンメル』のロゴ、デンマークサッカー協会(DBU)のエンブレムもユニフォームと同じカラーで目立たないものとなっていた。

そんな中28日、『ヒュンメル』が声明を発表。W杯開催国のカタールで起きていた、人権の問題と移民労働者の扱いに抗議するため、目立つことを避けたとユニフォームに関して説明した。

「何千人もの人々の命を奪ったトーナメント中に我々は目立ちたくありません」

「我々は、デンマーク代表チームを全面的にサポートしていますが、それはホスト国としてのカタールをサポートすることと同じではありません」

カタールでは、W杯のためのスタジアム建設やインフラ整備のために過酷な動労環境が強いられ、特に移民労働者への扱いが大きな問題となっていた。

国際連合との協議資格をもつ非政府組織(NGO)の「アムネスティ」は、8つの民間警備会社から34人の従業員のレポートを受け取ったことを発表。レポートによると、移民労働者は休日なしで何カ月、または何年も労働させられているという事実があったとしている。

さらに、ほとんどの人に対して、雇用主はカタールの法律で義務付けられている毎週の休暇を尊重することを拒否。休みを取った場合は、労働者は恣意的な賃金控除で罰せられることになっていたという。

この人権問題には、デンマークに限らず多くの国で反応が。イングランド代表は、キャプテンのハリー・ケインが多様性と包括性を促進し、差別に反対するためにオランダが開始したキャンペーンの一環として、W杯で「OneLove」のキャプテンマークを巻くことを決定した。

また、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ウェールズ、スイスも賛同。カタールは、厳格な反LGBT法や移民労働者の扱いに関する懸念など、同国の人権記録について激しく批判されてきた。【写真&動画】カタールへの抗議の現れとなったデンマーク代表のW杯ユニフォーム