前回王者も油断できない

フランス代表がワールドカップを連覇すると信じている人はどれだけいるだろうか。直近のネーションズリーグで思ったような結果が出ていないこともあり、カタール大会を前に前回王者の評価が怪しくなってきた。

ネーションズリーグへの本気度は各国で違いがあり、単なるワールドカップへの調整と捉えている指揮官もいるだろう。しかし、フランスは直近6試合で1勝しか挙げていない。

『Transfermarkt』は2013年以来の出来事と深刻に捉えており、王者の状態を心配している。もっともネーションズリーグではクロアチア、デンマークと実力のあるチームと対戦しているため、2013年当時と単純な比較はできないだろう。

とはいえ、ここ最近のワールドカップは前回王者がグループステージで消えるトラブルが続いている。世界屈指のタレント軍団として知られるフランスとて油断は禁物だ。

代表監督ディディエ・デシャンは0-2で敗れた25日のデンマーク戦後に、「今回は若い選手も多い構成だったため、心配する必要はない。負けたビッグチームは他にもあるからね」と前向きにコメントしているが、ワールドカップ本番になれば強いフランスが戻ってくるのだろうか。

確かに今月の代表戦ではFWカリム・ベンゼマ、MFエンゴロ・カンテといった経験豊富な選手が離脱していたのも事実だ。しかし振り返れば、昨夏のEURO2020もフランスは盤石だったわけではない。

EURO2020のグループステージではドイツ、ポルトガル、ハンガリーと同居する死の組に入り、結果は1勝2分だ。ハンガリーと1-1で引き分けるなど、圧倒的にゲームを支配したわけではない。決勝トーナメント1回戦のスイス戦では勝利まであと一歩のところから追いつかれ、PK戦の末に敗れている。このスイス戦もどこかフランスらしくないゲームだったとも言える。

タレント的に優勝候補の一角であることは間違いないが、ワールドカップ本番で歯車が狂う強豪チームも少なくない。フランスがネーションズリーグとは別の顔を見せてくれるのか、楽しみと不安が入り混じった感情がサポーターを包んでいるはずだ。