カタール・ワールドカップに臨む日本代表で、正GKの座を射止めるのは誰か。アジア最終予選では権田修一が奮闘した。先のエクアドル戦ではシュミット・ダニエルがPKストップなど猛アピール。経験豊富な川島永嗣、成長著しい谷晃生や大迫敬介も控える。森保ジャパンを取材する3人の記者の見解は?

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▼飯間健記者(スポーツニッポン新聞社)の見解
 ドイツ遠征での結果を見れば、シュミット・ダニエルが一番手に躍り出たと言える。

 エクアドル戦のPKストップ、そして権田修一が負傷交代した後のアメリカ戦でのパフォーマンス。足もとのビルドアップにも優れ、197センチの長身は欧州選手の高さや激しい当たりにも負けない。

 南ア大会から3大会連続で日本ゴールを守り続けた川島永嗣がベンチに座らざるを得ないのは仕方ないだろう。

 シュミットに唯一欠けていたモノが補えているのも実感する。6月の親善試合パラグアイ戦。ミドルレンジからのシュートを叩き込まれた時には“シュートストップ能力”の点で不安を覚えていた。

 昨今の欧州サッカーを見ていると、相手守備陣を完全に崩すよりも素早いアタックからのゴールが多い。そしてミドルレンジ(エリア外)でのシュートも増えている印象だ。

 ましてや守備の時間が長くなることが想定される今W杯においては、シュートを止める能力に優れたGKこそが優先されるべきではないか。そう考えていた。

 シュミットは、今季ベルギーリーグでは全試合出場でセーブ率77%。権田がJリーグで71%、谷晃生は同65.6%。神がかり的なセーブを連発する東口順昭(G大阪)や大迫敬介(広島)でも73%弱だ。

 現在、最も充実しているシュミットを正GKに置くことに何の疑問もない。
 
▼唐沢裕亮記者(東京新聞)の見解
 実績を重視する森保一監督だけに、極限状態で戦ったW杯アジア最終予選でゴールマウスを守り続けた権田修一への信頼は厚いと見る。緊迫した試合を通じてDF陣と呼吸を合わせてきた経験は大きいだけに、権田が軸になるだろう。

 ただ、本大会に向けて始動した6月以降に目を向けると、権田はブラジル戦と9月のアメリカ戦の2試合に先発。ライバルのシュミット・ダニエルはアメリカ戦で負傷した権田と交代で入ったアメリカ戦を含めて4試合(うち先発3試合)に出場している。

 現状、9月のエクアドル戦でPKを止めるなど好守を見せたシュミットが権田を猛追している。

 W杯南アフリカ大会の時は、直前のテストマッチでGKの序列がひっくり返った。ベルギーリーグでアフリカ系選手とのフィジカル勝負を日常としていることは、シュミットにとってアドバンテージになるし、197センチの身長は世界でも見劣りしない。

 プレッシャーにも動じない足もとの技術は確かなうえ、アメリカ戦で見せたような高精度のフィードはロングカウンターを狙うのに武器になる。クロス対応を磨き、さらに自信をつけることができれば、逆転の可能性もあると見る。
 
▼内田知宏記者(報知新聞社)の見解
 現役のフィールド選手ですら、ある一定のレベルに達したGKの良し悪しがはっきりしないという。もちろん、それぞれの監督、GKコーチは根拠を持って起用しているはず。

 森保ジャパンでは権田修一が一番手を務めてきた。起用された試合で大きなミスもなく、これという欠点も見当たらない。ディフェンスラインとの連係も問題なさそうで、権田がゴールマウスを守ることに違和感を覚えることはなかった。

 その考えに差し込んできたのが、9月のエクアドル戦で先発し、安定したプレーを見せたシュミット・ダニエルだ。CKをはじめ、セットプレーで失点する匂いが漂うなか、高さを活かしたハイボール処理を披露し、無失点で試合を終えた。

 もちろんPKをストップしたことも彼の存在を高めることに一役買ったが、あくまでも、魅力に映ったのは高さ。ロシアW杯では、高さで握りつぶされたベルギー戦の苦い記憶が残る。日本の届かないところに手が届く存在は、貴重だと思わされる。
 
 いずれにしても、第1、2GKはこの2人で堅いだろう。そこに実力者の川島永嗣が控え、23歳の大迫敬介、21歳の谷晃生が次点。

 三番手のGK枠をどう使うかは判断が分かれるところ。チームの引き締め役、重石の役割を託すなら、4大会連続出場となる川島になり、次世代へつなぐのなら若手のうち、どちらかがメンバー入りすることになるだろう。

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