ことし11月20日に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。2018年ロシアW杯でフランスの優勝に貢献したアントワーヌ・グリーズマンにまつわるNetflixのドキュメンタリー映画『アントワーヌ・グリーズマン:レジェンドの誕生』で彼の知られざる素顔が明かされている。
子供の頃からサッカー選手になるのが夢だったというグリーズマン。彼の幼少期について父親は「5歳のときからずっとボールを持っていた」と明かす。1998年に当時7歳だったグリーズマンがフランス代表チームの選手たちからサインをもらったときの映像も残されている。ファビアン・バルテズ、ジネディーヌ・ジダン、ティエリ・アンリ……憧れの選手たちと会って興奮するグリーズマン少年らは「いいね! 次世代だな!」と声を掛けられている。
フランスのマコンで育ったグリーズマンは、様々なプロクラブの入団テストを受けたが全て不合格だったという。小柄なグリーズマン少年はクラブが求める身長などの基準に達してなかったようだ。14歳のときにモンペリエのクラブでトライアウトを受けたときに、スペインのクラブ、レアル・ソシエダのスカウトだったエリック・オルハツの目に留まる。
その小柄な金髪の少年の印象を「目立ちました。何かが違ったんです。可能性がありましたが、運動能力が未熟だったのでよく転んでしまうんです。けれども彼のテクニックは抜群でした。生まれ持った才能です。今の彼と同じで、軽々と流れていくような……。つまり、その才能はすでに存在していたんです」とオルハツは振り返る。彼はグリーズマンと家族に方針が異なるスペインでトライアウトを受けるように勧めたという。
本人の希望もあり、オルハツが父親を説得してグリーズマンはスペインへ渡る。そしてレアル・ソシエダのユースに所属し、プロを目指すことになった。幼いうちに家族、学校、友人、地元のサッカークラブと別れ、外国の慣れない環境で生活するグリーズマン少年を下宿させて面倒を見ることにしたオルハツ。グリーズマンはどんなにつらい思いをしても夢をあきらめず、「3カ月置くだけのはずが、気づくと18、19歳になっていた」とオルハツは笑う。その頃にはゴール数トップの優秀な選手へと成長していたグリーズマンは、18歳でレアル・ソシエダと念願のプロ契約を結んだのだった。