2019、2020シーズンの2年間アビスパ福岡でプレーし、幾多のビッグセーブと人情味あふれるキャラクターでサポーターに愛されたスペイン人GKジョン・アンデル・セランテスが、フットボール・トライブの独占インタビューに応じてくれた。
インタビュー前編では、日本でプレーした2年間での印象的なシーンや、日本人選手とのエピソード、福岡退団時の真相や、サポーターに対する現在の想いなど、セランテスが明かしてくれた盛りだくさんの話の一部をご紹介している。
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ここでは、現在スペイン3部(UDログロニェス)でプレーし、日本とスペイン両国をよく知るセランテスに聞いたFIFAワールドカップ・カタール大会の見通しを覗いてみよう。カタールW杯グループEで対戦する日本とスペイン。セランテスは勝負の行方をどう見ているのだろうか。
スペイン2010年W杯優勝時との違い
ースペインと日本は、カタールW杯に同組で出場します。現在のスペイン代表チームの長所と短所は何だと思いますか。
セランテス:弱点があるとすれば、経験値かな。今のスペイン代表には若い選手がそろっていて、スペイン代表のルイス・エンリケ監督も予選や強化試合ではたくさん選手を入れ替えている。多くの選手を試しているんだ。ワールドカップの直前に強いチームを作るのはとても難しく、若い選手が多いとなおさらだ。でもスペインはとても強力な選手がたくさんいるし、日本にとっては勝ち点を取るのが難しい相手だと思う。またそこまで(代表での)経験がなくても、スペインの若い選手たちはいろんな強い対戦相手と試合をしている。ヨーロッパの国は強化試合でイタリア、ドイツなどと試合をするからね。一方で日本の強化試合のメインの相手はアジアの国だから、対戦相手の強さの違いも大きく左右するのではないかと思う。
ースペインは2010年のW杯南アフリカ大会で優勝しています。当時と今の違いを挙げるならば、どのようなところでしょうか。
セランテス:2010年のスペイン代表には、世界のベストといえる最強の選手がそろっていた。バルセロナの選手が8人ぐらいいて、スペイン国内では”メッシを抜いたバルセロナ”だと言われていたんだ。その頃のバルセロナは(ペップ・)グアルディオラ監督のもと国際的にもとても強いチームだった。でも今のスペイン代表は違う。若くハングリー精神を持つ選手たちがそろっているけど、日本の目線で考えると、2010年のスペイン代表より今のスペイン代表のほうが戦いやすく、チャンスがあると思うよ。
W杯E組はアンラッキーだ
ー日本代表で知っている選手や、交流した選手はいますか?
セランテス:CDテネリフェでプレーしていたとき(2021年2~6月)に、CDレガネスと対戦して柴崎岳と話す機会があった。そのときに『頼む、僕に日本語で話してくれ』と伝えて、日本語で話そうとしたんだけれど、彼はシャイであまり話せなかったんだ。彼とはもっともっと話したいと思っているよ。
ー周りのスペインの人たちは、日本代表に対してどのようなイメージを持っていますか?
セランテス:多分スペイン国内の人たちも僕と同じ意見だと思うんだけど、日本にはテクニックの素晴らしい選手がたくさんそろっている。あとはペナルティエリア内で、もう少しアグレッシブさがあったらいいなと感じる。また相手のカウンターにならないようにしっかりと潰さないといけないし、守備の面でもアグレッシブであってほしい。そこがまだ足りないところかな。でもとても力のある対戦相手で、スペインだけではなくて他の代表チームも困らせることになるだろう。(E組は)このワールドカップのなかでもっとも難しいグループじゃないかなと感じているよ。もちろんドイツも強いし、日本も際どい相手だから、アンラッキーだ。
日本がスペインに勝つために必要なことは
ー日本がスペインに勝つために、必要なことは何でしょうか。
セランテス:まず第一に、チャンスをシュートまでもっていくこと。僕の想像のなかでは、日本は長い間ボールを持てると思う。そのときに、スペインにカウンターを与えないこと。スペイン代表のなかには速い選手がたくさんそろっているから、カウンターを許すと大変なことになってしまう。だから戦術的なファウルなどを含めて、カウンターを許さないことが大事なんだ。あとは0-0とかの同点の状況でも、悔しがらないこと。慌てないことが大事になる。僕としては、スペインと日本がグループを突破して、ドイツがさよならとなるのが1番嬉しい(笑)。
ーずばりスペイン対日本の勝敗予想をお願いします。
セランテス:スペイン対日本は1-1の引き分けが、個人的には良いなと思っている。ワールドカップ全体だと、日本には準決勝まで行ってほしいね。1番強いのはブラジルではないかと思っているよ。