日本サッカー協会(JFA)は11月1日、FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)の登録メンバー26名を発表した。これまでの招集傾向からベテラン選手も多く選出されることが予想されたが、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)MF原口元気(ウニオン・ベルリン)といった経験豊富な面々の落選など、波乱もある発表となった。

カタールW杯では、過去一番ともいわれるほど厳しいグループリーグを戦う日本代表。選出された選手たちには、落選した多くの選手たちの為にも活躍を期待したいが、期待の一方で過去のW杯と同様にメンバー選考についてはSNS等で多くの意見が飛び交っている。特に、最終盤を迎え各クラブ順位争いにしのぎを削っていたJリーグにおいては調子を上げている選手も多く、W杯本大会へ向けサプライズ選出を期待したサッカーファンも多いだろう。

ここでは、カタールW杯に出場していれば活躍が見込めたJリーガーたちを5名紹介していく。


【日本代表】W杯メンバーに選ばれていれば活躍が期待できたJリーガー5選
川崎フロンターレ FW家長昭博 写真:Getty Images

家長昭博(川崎フロンターレ)

J1リーグで首位横浜F・マリノスを猛追しながらも、惜しくも準優勝に終わった川崎フロンターレ。その中にあって最前線での落ち着いたボール保持や、的確な判断に基づくポジショニングでゲームをコントロールしてきたのがFW家長昭博だ。

36歳という年齢になったが、判断力や落ち着いたプレーという意味では年々冴えわたっている印象。代表からは2011年の韓国戦(8月10日)を最後に遠ざかっているが、国内外の多数のクラブを渡り歩き、豊富な経験値を持つ家長こそベテランならではのチームへの貢献が期待できると言えるだろう。

今2022シーズンのJ1では12ゴールとチームトップの得点力を誇り、この数字はリーグ全体でも3位となっている。W杯メンバーにおいて、家長のポジションは序列争いの激しい場所であることは事実だ。しかし、MF三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)やMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)といった代表の主軸になるであろう選手には川崎出身の選手も多く、家長がプレーしやすい環境であることもまた事実。

ドイツやスペインといった列強との対戦が組まれたカタールW杯グループリーグ。前線でボールを落ち着かせ得られる数少ない選手としても、久々に代表での家長を見てみたかったものだ。


【日本代表】W杯メンバーに選ばれていれば活躍が期待できたJリーガー5選
鹿島アントラーズ FW鈴木優磨 写真:Getty Images

鈴木優磨(鹿島アントラーズ)

森保一監督になって以降、日本代表メンバー発表のたび招集されるか否かの話題を集めていた鹿島アントラーズのFW鈴木優磨。一部で噂されたSNSでの言動による森保監督との確執の真偽は不明だが、W杯メンバーにはとうとう選ばれずに終わった。

ピッチ内外の言動が注目されることも多いが、プレーは献身的かつ器用な選手である鈴木。前線での守備はもちろん、下がって受けたりサイドに流れたりといった展開に貢献する姿も鹿島ではよく見られる。

ベルギーでの武者修行を経て鹿島に戻った今2022シーズン。FW上田綺世(サークル・ブルッヘ)の海外挑戦やシーズン途中での監督交代など、落ち着かないチーム状態の中でも中心選手として献身的にプレーし続けた。その証拠にリーグトップの9アシストをマ―クしている。

残念ながらカタールの地で輝く姿は見られないが、現在26歳とまだまだ次も期待できるだけに、今後のプレーにも大きな期待が寄せられることだろう。

【日本代表】W杯メンバーに選ばれていれば活躍が期待できたJリーガー5選
川崎フロンターレ MF脇坂泰斗 写真:Getty Images

脇坂泰斗(川崎フロンターレ)

今2022シーズンより、川崎のレジェンドであるMF中村憲剛(2020年引退)がつけていた背番号「14」を継承したMF脇坂泰斗。クラブを連覇に導くことは叶わなかったが、5ゴール9アシストと背番号に恥じない活躍を見せてくれた。

昨今の川崎は、主力選手が相次いで海外移籍を果たしている。そんな中でも安定した強さを維持できているのは、脇坂をはじめクラブに残る選手たちが軸となり、新戦力との融合を図れていることが大きい。カタールW杯本大会に臨むメンバーには、現在でも同じ川崎に属するDF山根視来のほか、元川崎という意味では田中碧、三笘薫らもおり、脇坂も招集されればチームへの順応が早いであろうことは容易に想像できる。

27歳という脂の乗っているこの時期にW杯に出たい気持ちはもちろん高いだろう。しかし、決して今後も招集されないと決まったわけではない。近年日本のサッカーを牽引するクラブの主軸選手として、今後の去就も含めて注目の選手であることは間違いない。


【日本代表】W杯メンバーに選ばれていれば活躍が期待できたJリーガー5選
横浜F・マリノス FW西村拓真 写真:Getty Images

西村拓真(横浜F・マリノス)

今年初めて日本代表に選出された横浜F・マリノスのFW西村拓真。残念ながらW杯本大会メンバーからは落選となった。横浜FMへは今季からの加入だが、早い段階でフィットし優勝の立役者になっている。

最前線ではなくトップ下の位置での起用が多かったが、やはり持ち味の得点力は変わらず自身としても久々の2桁10ゴールを挙げた。特にJ1最終節の神戸戦(11月5日)では、決勝点にもなる勝ち越しゴールを決めており勝負強さも見せている。

カタールW杯のグループリーグでは、これまでのアジアでの戦いとは異なり少ないチャンスを生かせるかが勝負になるだろう。そんな中で、西村の優れた得点感覚と勝負強さが必要になる場面も十分考えられるのではないだろうか。


【日本代表】W杯メンバーに選ばれていれば活躍が期待できたJリーガー5選
湘南ベルマーレ FW町野修斗 写真:Getty Images

町野修斗(湘南ベルマーレ)

23歳とまだまだ将来が楽しみな湘南ベルマーレのFW町野修斗も、カタールW杯のメンバーからは落選となった。しかし、町野にとって今2022シーズンが飛躍の年になったことは間違いないだろう。自身初となる2桁13ゴールをマークし得点ランキング2位につけた。また、7月にはEAFF E-1サッカー選手権に臨む日本代表に初めて招集され、大会得点王となる3ゴールを記録している。

現在の日本代表には、かつてのFW岡崎慎司(シント=トロイデンVV)のような点取り屋はいない。今季のようにゴールという結果で町野が成長を見せることは、所属クラブだけでなく日本代表にとっても今後大きな力となる。今回は残念ながらメンバー入りを果たせなかったが、まだまだ若い町野にとってむしろ勝負はここからの4年となるだろう。