相馬勇紀の秘めたる闘志が伝わってきた。
 
 現地時間11月12日、カタールW杯を控える日本代表はドーハで2回目のトレーニングを実施。前日と同じく国内組7人による練習は約70分間で終了したが、相馬は町野修斗と一緒に居残りでシュート練習に精を出し、両足で鋭いシュートを連発した。
 
 国内組で臨んだ今年7月のE-1選手権で得点王とMVPをダブル受賞する大車輪の活躍を見せ、9月には海外組を含めたフルメンバーの日本代表に昇格。途中出場したエクアドル戦ではドリブルなどでアピールし、大外から一気に檜舞台への切符を掴み取った。
 
 最も得意とする左ウイングには、東京五輪でも共闘した久保建英と三笘薫が揃う。ただ、相馬は「(森保一監督には)まずは闘えるところを評価してもらっているかなと。守備と攻撃の両方でチームの約束事を守りながら自分の良さを出そうとするタイプなので、そういった献身性を大きく評価してくださったと思っています」と語る通り、2人とはややタイプが異なるサイドアタッカーだ。
 
「(W杯の日本代表には)建英だったり薫だったりドリブルが上手い選手がいるんですけど、僕は自分で仕掛けるところは持ちながらどちらかと言えば裏をまず狙ってとか背後へのランニングが多い。他の選手とは違った武器でサイドを切り裂けると思っています」
 
 メディア対応も真摯で人の良さが伝わってくるが、心の中には熱い闘志を宿しているし、滑り込み登録されたことの強みも自覚している。
 
「先発でも途中からでもとにかく点を取って、チームの勝利に貢献したい。本当に一発やってやろうという気持ちです。他の選手に比べたら(相手が持っている)情報が少ないと思うので、とくに1つ目のプレーをすごく大切にしたい。一気に畳み掛けて、そこで得点を取るというところを意識していきたい」
 
 欧州で結果を残し、スター性のある久保や三笘により大きな注目が集まっているのは事実。ただ、相馬の練習を見たり発言を聞いたりしていると、「本当に一発やってくれるのではないか」という気持ちにさせられた。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)