日本代表の守田英正は現在スポルティングCPに所属。中盤として必要なあらゆる能力を持つ万能型のMFが11月9日に世に出したのが『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(幻冬舎)だ。同著の冒頭では「日本サッカーが世界で戦うために最も足りないもの」について「ずる賢さ」だと書かれている。
1993年にJリーグが開幕し、来日したブラジルサッカー選手が日本にもたらしたものが「マリーシア(ずる賢さ)」という言葉だ。日本人が元来持つ性格から、それを実現するのは難しいものの、日本代表に外国人の監督が就任するたびに「日本人にはずる賢さが足りない」という指摘がされてきた。
守田自身も2021年にポルトガルリーグに移籍した際に、日本代表とは異なる「ずる賢さ」を戦略的に盛り込んだプレースタイルに「こういう感覚が根付かない限り、日本からネイマールみたいなドリブラーは出てこない」と確信したという。
サッカーのような勝負ごとにおいて、クリーンなやり方にこだわれば勝率にも悪影響を与える可能性があると警鐘を鳴らす守田は「今後、日本代表がW杯で勝ちあがるためには、したたかな試合運びや私的なプレーが不可欠」と綴っている。
守田が「ずる賢さ」を身につけたのは、5歳上の兄の影響が大きい。少年時代の守田は勝ち目がなくても兄に挑み続けたそうで、そのなかで「駆け引き」や「裏をかく発想」を身につけていったという。
「ずる賢さ」は「勝利への抜け道」だと解説する守田。いま、世界的な競争社会に置かれている日本人の我々に必要なヒントが綴られた同著をぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。
photo:徳丸篤史 Atsushi Tokumaru