ワールドカップで躍進を続けるモロッコ代表。アフリカ勢として史上初となる準決勝進出を果たした。

ここでは、『Transfermarkt』による市場価値の設定額が高いモロッコの選手たちを紹介する。

4番:MFスフィアヌ・アムラバト

4番:MFスフィアヌ・アムラバト

市場価値:1000万ユーロ(14億円)

フィオレンティーナ所属の26歳。

オランダ生まれながら、2017年からモロッコ代表としてプレーしている。

185cmと長身で中盤からゲームを作ることを得意としているコンダクター。長短のパスの精度に長けている。

今大会でも全5試合にフル出場。スペインを撃破した際には「感無量だ。この試合に出られるか分からなかった。午前3時までフィジオと一緒に起きていたし、試合前は注射もした。仲間と国を見捨てることはできない」とその喜びを語っていた。

兄ノルディン・アムラバトも2018年W杯にモロッコ代表として出場した選手。ベスト4進出を決めると、兄は弟の頭にキスをして喜びを分かち合っていた。

19番:FWユースフ・アン・ヌシーリ

19番:FWユースフ・アン・ヌシーリ

市場価値:1200万ユーロ(17億円)

セビージャに所属する25歳のFW。190cmほどの体躯を誇る大型レフティストライカーだ。

打点の高いヘディングを持つが、足元のプレーにも秀でている。左足から繰り出す強烈なシュートは印象的で、ここぞの一発を持っている。

2018年W杯ではスペイン相手にゴールを決めたほか、今大会でも準々決勝でポルトガルを沈める値千金の決勝ゴールをゲット。

今季加入したセビージャでは0ゴールと苦しんでおり、「サポーターには侮辱的な言葉で自分を批判しないでほしいと呼びかけている。家族もSNSをやっていて、その侮辱を目にするから」と訴えていたが、代表では英雄になったはずだ。

1番:GKヤシヌ・ブヌ

1番:GKヤシヌ・ブヌ

市場価値:1500万ユーロ(21億円)

セビージャに所属する31歳のキーパー。

スペイン戦でPKを止めまくり、ポルトガル戦でもロナウドのシュートを阻止して一躍名を上げた。

彼は父親の仕事の都合でカナダで生まれた後、8歳でモロッコに帰国。それもあってか、英語、スペイン語、フランス語、アラビア語の4か国語を操れるとか。

190cmを超える長身でPKには滅法強い(PK戦を除く阻止率は26%)。

また、今大会では3度のクリーンシート(無失点試合)を達成し、アフリカ勢のGKとして史上初の記録も樹立した。

ポルトガル戦後には愛息との微笑ましいシーンも話題に。

7番:ハキム・ジヤシュ

7番:ハキム・ジヤシュ

市場価値:1700万ユーロ(24億円)

チェルシーに所属する29歳のMF。

卓越した左足を武器とするテクニシャンだ。

オランダ生まれでユース世代ではオランダ代表だったが、21歳だった2015年にモロッコ代表にデビュー。代表戦での報酬は一切受け取らず、その全てをモロッコのチームスタッフや貧しい家庭に寄付しているそう。

ヴァヒド・ハリルホジッチ監督との関係が崩壊したことで一時は代表引退を宣言したが、同監督の解任を受けて今年9月にチームに復帰した。

9人兄弟の末っ子として生まれた家庭は貧しく、ジヤシュが10歳だった2003年には父親が多発性硬化症で死去。

兄弟2人が窃盗と暴行で服役したほか、ジヤシュも父の死で精神的に荒んでしまう。勉学で躓くと、12歳でサッカーも止め、ドラッグやアルコールにおぼれて、人生は破滅寸前に陥る。

だが、当時のコーチのおかげで、薬物中毒から脱出。一時は薬物やアルコールなどに再び手を出して問題児に逆戻りするも、2016年に名門アヤックスと1100万ユーロ(15億円)の契約を結び、家族を貧困から救い出すことができた。

そんなジヤシュは母親に感謝しており、「本物のヒーローは自分ではなく母。彼女は自分にとって全て。母がいなければ、いまの自分はない」と話している。

ちなみに、彼は日本語での表記に揺らぎがあるが、本人の名前発音はこうだ。

ツィエクではなく、「ジヤシュ」である。

5番:DFナヤフ・アゲール

5番:DFナヤフ・アゲール

市場価値:2500万ユーロ(36億円)

ウェストハムに所属する26歳のDF。

188cmの体躯を持つ左利きのセンターバックだ。空中戦で圧倒的な強さを見せるだけでなく、スピードと確かな足元を兼ね備えている。

単なる高さだけでなく、予測とタイミングの見極めにも優れ、フランスリーグで評価を確立すると、この夏に移籍金3500万ユーロ(50億円)でプレミアリーグに引き抜かれた。

父親も元代表選手だったが、幼い頃は母親から勉強に集中することを求められていたそう。実際、彼を知るコーチも「知的な子で、教養があり、学ぶ意欲がある」と話している。

その後、モロッコで有名なサッカーアカデミーへの入学を許されたが、『Guardian』によれば、本人は「12~13歳で犠牲の払うのは簡単ではない。食事制限がきつかったので、チョコレートバーを隠れて食べた。もし、見つかったら、朝4時半起きでランニングするはめになったよ」と振り返っているとか。

なお、ポルトガル戦は怪我のために欠場している。

3番:DFヌサイル・マズラウィ

3番:DFヌサイル・マズラウィ

市場価値:2500万ユーロ(36億円)

バイエルン・ミュンヘンに所属する25歳のサイドバック。

彼もオランダ生まれで、オランダとモロッコで争奪戦が繰り広げられたほどの存在だった。

4度の入団テストの末に7歳で名門アヤックス入りした彼はボランチとしてプロデビュー。だが、穴埋めのために起用された右サイドバックとしてブレイクを果たす。その点ではリヴァプールのイングランド代表トレント・アレクサンダー=アーノルドと似ている。

そんなマズラウィは1vs1や前線の選手との連携を好みつつ、試合を読むことにも優れ、守備面ではそれが発揮される。

彼もジヤシュ同様にハリルホジッチ監督との衝突で一時は代表を去ったが、今年9月に復帰した。

ハリルと仲違いした原因は、2020年10月に起きたボトル事件。熱さ対策のために練習で5分ごとにドリンク休憩があったというが、そこで水分補給をしなかったことにハリルがキレたとか。

両サイドバックと中盤をこなせるが、今大会では左サイドバックとして起用されている。ただ、彼もポルトガル戦を故障のために欠場している。

2番:DFアシュラフ・ハキミ

2番:DFアシュラフ・ハキミ

市場価値:6500万ユーロ(93億円)

PSGに所属する25歳の右サイドバック。

スペインで生まれ、レアル・マドリーで育成されたスピードスターだ。攻撃が売りだが、その爆発的スピードは守備でも行かされる。

「母は掃除婦、父は路上で物を売っていた。僕がサッカーをするために両親は多くの犠牲を払ってくれた。いまの僕は2人のために毎日戦っている」と幼少期を振り返っている。

その後、香川真司ともプレーしたドルトムントで、サイドアタッカーとして起用されるなど選手として飛躍。また、時速36.49kmという当時のブンデスリーガ最速スピードを叩き出し、ドイツ代表マルコ・ロイスも「あのスピードは信じられない。本物の兵器」と脱帽していた。

ちなみに、現在、PSGで得ている“月給”は、108万ユーロ(1.5億円)ほどだとか。

なお、準決勝で対戦するフランス代表FWキリアン・エムバペとは一緒にサッカーゲームもやる仲良しだ。

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モロッコ対フランスの決戦は日本時間5日に行われる。