現地時間11月20日に開幕したカタール・ワールドカップ。翌21日にはイングランド代表がイラン代表との初戦を迎える。

 イングランドを率いるガレス・サウスゲイト監督は、20日に行なわれた前日会見に登場。イラン戦についての質問に答えるなか、選手たち主導で試合前に膝をつく行動に出ることを明かした。英紙『The Athletic』が報じた。

 サウスゲイト監督は「我々が長い間、行なってきたことで、チームとして支持する姿勢でもある」と述べた。試合前の膝をつく行為は、2020年にジョージ・フロイドさんが亡くなったことをきっかけに、人種差別根絶への姿勢を示すために始まった。

「プレミアリーグでは特定の試合や大事な場面で使うものだと理解している。今回は最も大きな舞台だ。選手たちがここ数日話し合って、全員で決めた。私もそうすべきだと思うし、特に若い人たちに対して、包括性の重要さを示す強い声明になると思う」

 また、欧州代表チームはカタールにおけるLGBTQへの扱いが問題になっている現状を受け、多様性を訴える「OneLove」を象徴する虹色のキャプテンマークを巻くことを決めている。イングランド代表キャプテンのハリー・ケインも着用予定だ。
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 だが、国際サッカー連盟(FIFA)はこれまで別の腕章をつけるように求めており、英紙『The Guardian』は「関係者がロッカールームに押しかけ、腕章を取り外させるとも考えられる」と報じている。

「彼らはレインボーのアームバンドをつけることで、FIFAの要求に逆らうことを計画しており、イングランドサッカー協会(FA)は罰金処分を受ける覚悟だ。ドイツやオランダ、デンマークなどもその準備があるという。FAはFIFAに『腕章をつけても試合に出場できるか』と何度か問い合わせたが、明確な答えはないままだ」

 ケイン自身は「チームとして、スタッフとして、組織として、腕章をつけたいという気持ちは明らかにしている。FAとFIFAが話し合っているのは知っているし、明日の試合までに決定が下されるだろう。だが、僕らは腕章をつけて試合に出たい。その立場はハッキリさせたつもりだ」と述べたという。

 懸念事項としては、FIFAが虹色の腕章をつけた選手に対してイエローカードを提示する処分に出ることが指摘されている。果たして、欧州チームの主張はどのように現地で受け止められるのか。先陣を切るイングランドの初戦は日本時間21日の22時にキックオフ予定だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部