中東と欧州の文化の違いという言葉で済ませられる出来事なのだろうか。

 現地時間11月21日、翌日にカタール・ワールドカップの初戦となるチュニジア戦を控えたデンマーク代表のキャスパー・ヒュルマン監督が前日会見に出席。試合についての意気込みなどを語るなかで、記者から「虹色のキャプテンマーク」について質問が飛んだ。

 これは、同性愛者など性的少数者への差別反対を表現した「OneLove」が記され、ハートマークが描かれた腕章のこと。当初、デンマークを含むイングランドやドイツなど欧州7か国は、主将がこのマークを身に着ける予定だった。

 しかし、この動きに対し国際サッカー連盟(FIFA)がけん制。政治的なメッセージを禁止するという規定や、さらにカタール国内ではこうした活動をした該当者を書類送検にするという事情などを理由に、着用した場合は即刻警告処分にするといった“通達”がなされた。これを受けた欧州各国は「One Love」の着用を見送ったという事情がある。
 
 ヒュルマン監督は、「そもそも、イエローカードを提示されることが分かってピッチに立つことを想像してみてほしい」と肩をすくめた。

「そんなことは絶対にありえない。その判断は絶対に選手に委ねられるべきではないことは確かで、そうしないようにするべきだ。すべては連盟の判断になる。

 だが、この活動は以前からやっていたことで、今大会のために考案されたものではない。欧州サッカー連盟(UEFA)の大会では普通に付けていたんだ。正直に言えば、問題があるとは考えられないし、私にとっては大きな疑問符がつく決断だ。物議を醸すメッセージを含んでいると思う」

 とはいえ、すでに試合を終えたイングランド、ウェールズでは「One Love」の腕章は着用されていないため、デンマークも同様の対処をすると見られる。

 ヒュルマン監督が「クオリティの高い選手が揃った」と自負するデンマークのカタールW杯初戦、チュニジア戦は日本時間22日の22時にキックオフされる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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