アルゼンチン守備陣が綺麗に振り回された

この日はアルゼンチンの10番以上にサウジアラビアの10番が輝いていた。

22日に行われたワールドカップ・グループC初戦、とんでもないドラマが起きた。グループ最強と考えられていたアルゼンチン代表を、最弱との評価だったサウジアラビア代表が2-1で撃破したのだ。

決勝ゴールを奪ったのは、サウジアラビアの10番を背負う31歳のMFサーレム・アッ・ドーサリーだ。

ドーサリーは53分、左斜め45度の角度でボールを拾うと、囲いにきたアルゼンチン守備陣を華麗なターンで突破。さらに詰めてきたDFをかわし、右足を振り抜いた。ボールはGKエミリアーノ・マルティネスの手を弾いてゴール右上隅に突き刺さり、まさかのドラマが完成した。

SNS上では、「今大会No.1ゴール」、「早すぎるドラマだ」といった声が挙がっている。まだ大会は始まったばかりだが、この一撃は大会ベストゴール候補に入ってくるだろう。イングランド代表FWブカヨ・サカがイラン戦で決めたボレーシュートも美しかったが、ドーサリーのゴールの方が難易度は高めだ。

相手を華麗にかわしたターンとカットイン、そして狙い澄ましたミドルシュートと、一連の動きはパーフェクトだった。アルゼンチンのDF陣もまさかアジアにこんなレベルのアタッカーがいるとは予想外だったか。

一時期ビジャレアルでプレイしていた時はあるが、ドーサリーはアカデミーの頃より国内の名門アル・ヒラルでプレイしてきた選手だ。アジアチャンピオンズリーグも2度制しており、2021年大会ではMVPにも選ばれた。

サウジアラビアにとって攻撃の柱だったわけだが、10番にふさわしいビューティフルな勝ち越しゴールだった。世界もその才能に気付いたはずで、シュートまでの流れは確かな技術がないと出来ない芸当だ。