若手が多く、優秀な選手が揃うが、スターは不在で、チームの顔は指揮官のルイス・エンリケ——。カタール・ワールドカップ(W杯)を戦うスペイン代表を評する際に、よく使われる表現だ。
実際、平均年齢は出場32か国の中で3番目に低い。セルヒオ・ブスケッツ(34歳)、ジョルディ・アルバ、セサル・アスピリクエタ(ともに33歳)とベテランが3人いるにもかかわらず、だ。
これらの事実が意味するのは、中間層の欠如だ。そもそも今大会は、2013年にイスラエルで開催されたU-21欧州選手権を制したメンバーがピークを迎えるはずの大会だった。イスコ、チアゴ・アルカンタラ、ダビド・デ・ヘア、アシエル・イジャラメンディ、イニゴ・マルティネスといった面々がそうで、いずれも若い頃は大きな期待を寄せられていた選手だった。
そのU-21欧州選手権優勝メンバーの中で今回のW杯に参戦するのは、アルバロ・モラタ、コケ、ダニエル・カルバハル、パブロ・サラビアの4選手しかいない。
そんな中、ペドリ、ガビ、アンス・ファティといった若手の台頭も追い風に、積極的な世代交代を敢行してきたのがL・エンリケ監督だ。やや強引な手法が賛否を巻き起こしているが、そうせざるを得ない事情が存在していた。
スペイン代表を評する際によく使われるもうひとつの表現に、「強豪に勝つこともあれば、格下にあっさり負けることもある」というものがある。ベスト4に進出した昨年のEUROを経て確かに成熟度を高めているが、チームとしての不安定さが拭えないことの指摘である。
なにしろ重鎮のブスケッツとともに中盤を形成すると目されるのは、ペドリとガビという10代コンビだ。こうした若手が全盛期を迎えるのは、4年後、8年後のW杯だろう。今大会のスペイン代表を語るうえで忘れてはならないファクターである。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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