カタール・ワールドカップ(W杯)におけるスペイン代表の戦術上のキーマンと言えば、やはりセルヒオ・ブスケッツだろう。ルイス・エンリケ監督も、「世界中を見渡しても彼以上のMFはいない」と明言している。
だが今シーズン、バルセロナで低調なパフォーマンスが続き、ビジャレアル戦(ラ・リーガ10節)ではついにスタメンを外れた。シャビ監督が推し進めるウイングの突破力に比重を置いた縦に速いサッカーのなかでは存在感を発揮できず、広いスペースをカバーすることを余儀なくされ、左右前後に振り回された挙句、失点に絡むシーンもあった。
しかしそんな中でも、ポゼッション・フットボールを採用するスペイン代表では、「中
盤の狭いエリアでパスを捌くプレーをさせればいまでも第一人者」というL・エンリケ監督の信頼を追い風に、昨年のEURO、そしてネーションズリーグでも活躍を見せてきた。
ブスケッツ自身も『エル・パイス』紙のインタビューで、オープンな展開でプレーするのは難しいかと問われると「はい」と答えているが、今シーズンのバルセロナでのパフォーマンスを踏まえて、地元スペインの識者の間でもブスケッツへの不安が増しているのは事実。出足で躓けば、不要論に発展する恐れもある。
キャリア4度目となる今回のW杯。長年バルサとスペイン代表のパスサッカーを支えてきた不世出の天才MFにとって、これまでにない逆境の中での挑戦が始まる。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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