【識者の目】前半苦しむも後半の戦術変更で改善、浅野や堂安に加え板倉ら守備陣にも軒並み高評価
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月23日にカタール・ワールドカップ(W杯)グループE第1節でドイツ代表(同11位)と対戦し、2-1の逆転勝利で大金星を挙げた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、カタール大会でW杯を7大会連続で現地取材する英国人記者のマイケル・チャーチ氏が日本の出場した16人を採点。前線から守備陣まで高評価が続いた一方、前半で退いたMF久保建英(レアル・ソシエダ)には物足りなさを指摘した。
◇ ◇ ◇
日本代表・ドイツ戦の出場メンバー採点(10点満点)
<GK>
■権田修一(清水エスパルス)7点
前半はラウムへのひどいチャレンジでPKを与えたが、後半の特に70分の4連続セーブで十分な埋め合わせをした。
<DF>
■酒井宏樹(浦和レッズ)6点
ドイツにPKを与えた場面ではポジションを見失っていた。伊東純也といい連携を見せる場面もあり、森保監督の戦術変更によって脅威になった。
■吉田麻也(シャルケ)7点
ドイツ相手に堅実なパフォーマンス。森保監督が3バックに切り替えた時には安心感があった。
■板倉 滉(ボルシアMG)7点
ドバイで行われたカナダとのフレンドリーマッチに比べてセンターバックとしてのパフォーマンスが向上。3バックへの変更に難なくもうまく対応した。
■長友佑都(FC東京)6点
前半終了間際に前田大然へいいクロスを送った、シュートはわずかに外れた。後半の早い時間で三笘薫と交代した。
中盤を構成する遠藤を「勝利の核」と絶賛、前半で退いた久保に関しては「交代も驚きはない」
<MF/FW>
■遠藤 航(シュツットガルト)7点
ハードワークと粘り強いパフォーマンスは日本の勝利の核となった。戦術変更にも上手くうまく対応した。
■田中 碧(デュッセルドルフ)6点
前半は遠藤航と一緒にプレーしてもドイツを抑えることができず。後半はより試合に入ることができ、堂安律と交代するまで高度な役割を担った。
■伊東純也(スタッド・ランス)7点
抜群のスピードと直線的な走りで常にディフェンスにプレッシャーを与えていた。試合開始早々、前田に素晴らしいボールを送ってネットを揺らしたが、残念ながらオフサイドだった。
■鎌田大地(フランクフルト)7点
試合開始早々、ギュンドアンからボールを奪って速攻につなげた。カウンターアタックにおけるキーマンだった。
■久保建英(レアル・ソシエダ)5点
静かな夜。効果的ではなく、相手陣内でボールを触る機会が少なく、違いを作ることができなかった。ハーフタイムでの交代も驚きはない。
■前田大然(セルティック)6点
エネルギッシュなプレーで前線からけん引した。日本が先制したと思われた場面ではわずかにオフサイドだった。コスタリカ先に向けてポジションを守るのに十分な働きかは疑問が残る。
途中出場組が躍動し、浅野や堂安に加え「勝利の土台を築いた」冨安の貢献も称える
【途中出場】
<DF>
■冨安健洋(アーセナル)7点
後半から途中出場でバックラインにすんなり溶け込んだ。素晴らしい勝利の土台を築いた。
<MF/FW>
■三笘薫(ブライトン)6点
長友との交代で出場し、左サイドにエネルギーをもたらした。守備に追われる時間もあったが、新しい役割でプレーする上では当然のこと。
■浅野拓磨(ボーフム)7点
前田に代わって出場した麻の葉見事なゴールでヒーローになった。彼のスピードと動きはドイツディフェンスを恐怖に陥れた。
■堂安律(フライブルク)7点
適切なタイミングで適切な場所にいた。コスタリカ戦では先発メンバーに加わるだろう。
■南野拓実(ASモナコ)6点
ピッチに入ってすぐに違いを見せた。彼の抑えたシュートをノイアーが弾き、それを堂安が押し込んだ。日本の目覚ましい復活のきっかけをつくった。
【監督】
森保一監督 8点
長年に渡って多くの批判を浴びたが、この試合のパフォーマンス、特に後半の戦術変更は監督としての適応力の高さを示すものだった。ベンチメンバーを巧みに使い、この試合のキーパーソンとなった。ドイツのハンジ・フリックを凌駕し、歴史的な勝利を得た。(マイケル・チャーチ/Michael Church)