原口に連絡を取り、8番をつけることを説明
カタールの地まで来ることができなかった先輩の分も――。その秘められた強い思いが、あのこぼれ球を日本代表MF堂安律(フライブルク)の元へ持ってきたのかもしれない。カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦のドイツ戦(2-1)で、同点ゴールを決めた堂安は、これまで日本代表では「21番」を付けてきた。しかし、ドイツ戦でゴールを決め、吠えた24歳が背負っているのは「8番」だ。
日本代表では、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)が8番を背負ってきた。森保ジャパンにも発足時から名前を連ねていた原口だが、カタールW杯の登録メンバーからは落選し、ロシア大会に続く2大会連続の出場は果たせなかった。
「日本サッカー協会の方から、メンバー発表された時に連絡をもらって『8番だよ』と言われた」と、自身が本大会で付けることになった番号について知らされた経緯を説明した堂安。「元気くんとの関係値も、おそらく知っていたんだと思う」と、代表活動の中でも関係の深い先輩を思い浮かべた。
「元気くんに何も聞かずにつけることはできなかったので、やり取りはしました」と、その名のとおり、律儀な男は原口に連絡を入れたという。
「そんなに深い意味はないんですけど、彼も前回大会で点を取っていて、縁起がいい番号だったので『その運を、俺にもちょっと分けてよ』という話をして、8番をつけさせてもらいました」
それを聞いた先輩も、自身がつけていた愛着を持っているであろう番号を「律につけてほしい」と、託したという。
堂安は自身のゴールが呼び水となったドイツ戦の勝利について、「日本サッカーの中でも、すごく大きな試合をしたと思う」と言いつつも、「まだ歴史は変わっていない。ベスト8は最低限の目標」と眼光を鋭くさせる。堂安のさらなる活躍に、原口も期待をしているはずだ。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)